リンダ・ハワード「天使のせせらぎ」☆☆

天使のせせらぎ

10代で両親を亡くした後、ひとりで両親が築き上げた小さな農園を切り盛りする女性ディー・スワン。

女性の一人暮らしなど珍しい時代とあって、彼女の土地を目当てに結婚を申し入れてくる開拓者や、彼女を自分のものにしようとする荒くれ者も多かったが、自分の好きなように生きたいディーは自衛のために銃の腕を磨き、彼女の土地に入り込む無法者を追い払って一人暮らしを貫き、変わり者だが誇り高く尊敬すべき女性と町の人々に認められていた。

ディーが暮らしている土地は、エンジェル・クリーク(天使のせせらぎ)と呼ばれる豊かな水に恵まれた肥沃な谷にあり、一人で暮らすには十分な実りがある土地で、彼女はけっしてムリはせずに、自分の生活を守れるだけの収穫で満足していた。

そんな彼女のところに近在一の大牧場主で野心家のルーカスがやって来て、土地を売ってくれないかと言い出す。

その申し出を断わるディーだが、その数日後に猫を避けようとして納屋の上から落下し、身動きがとれない状況になってしまう。

そこに訪れて来たのはルーカス。彼は持ち前の義侠心から、手助けなどいらないという頑固なディーの面倒をみてしまうが、そうしているうちに二人の間にはいつしか絆が生まれていく。


リンダ・ハワードのウェスタン三部作の2作目となる作品で、西部開拓時代が舞台のヒストリカル・ロマンスです。

この小説は古き良き時代の西部劇ですね。

ジョン・ウェインやモーリン・オハラ、グレゴリー・ペックやモンゴメリー・クリフトなどが登場して来そうなレトロな雰囲気の西部劇。

気が強くて頭が良くて気立てが良い女性ディーに惚れこんでしまうルーカスの行動が、いかにも昔の西部劇のタフガイみたいな荒っぽい行動です。

こんなコトして良いんだろうか?と思いながら読みました。

ラストでもう少し盛り上がってくれるともっと良かったのですけど、これはこれで雰囲気はあります。

でもリンダ・ハワードはサスペンスを書いたほうが良いんじゃないかなぁ、と思いました。

尚、リンダ・ハワードのウェスタン三部作は「レディ・ヴィクトリア」、本作、「ふたりだけの荒野」となりますが、舞台設定がウェスタン物というだけで、物語につながりはありません。


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