泉鏡花文学賞受賞作

泉鏡花文学賞は泉鏡花の生誕100年を記念して1973年に制定された文学賞です。小説や戯曲などの単行本を対象に「ロマンの薫り高い作品」に与えられ、泉鏡花の生地である金沢市が主催しています。

以下は泉鏡花文学賞の受賞作です。

年度 作品名 内容

第47回
2019年

ひよこ太陽

田中慎弥

道理で女が出てゆくわけだ――。妄想に取り憑かれた作家の姿を描く新しい私小説。今日も死ななかった。あの帽子を見たために、今日も死なずにすんだ――。一緒に住んでいた女に出ていかれ、切り詰めた生活でひたすら小説を書く40代の男。書けない日々が続き、いつしか死への誘惑に取り憑かれた男に、ある日人探しの依頼が届くが……。虚実のあわいで佇む作家の日常を描く連作小説集。芥川賞作家の新境地作。

(「内容紹介」より)

第46回
2018年

飛ぶ孔雀

山尾悠子

庭園で火を運ぶ娘たちに孔雀は襲いかかり、大蛇うごめく地下世界を男は遍歴する。伝説の幻想作家、待望の連作長編小説。

(「BOOK」データベースより)

第45回
2017年

最愛の子ども

松浦理英子

“パパ”日夏、“ママ”真汐、“王子”空穂。わたしたちの心をかき立てるのは、同級の女子高生三人が演じる疑似家族。時代を切りひらいて来た作家、最新にして最高の傑作!

(「BOOK」データベースより)

第44回
2016年

大きな鳥にさらわれないよう

川上弘美

何人もの子供を育てる女たち。回転木馬のそばでは係員が静かに佇む。少女たちは日が暮れるまで緑の庭で戯れ、数字を名にもつ者たちがみずうみのほとりで暮らす。遙か遠い未来、人々は小さな集団に分かれ、密やかに暮らしていた。生きながらえるために、ある祈りを胸に秘め―。滅びゆく世界の、かすかな光を求めて―傑作長篇小説!

(「BOOK」データベースより)

第43回
2015年

冥途あり

長野まゆみ

川辺の下町、東京・三河島。そこに生まれた父の生涯は、ゆるやかな川の流れのようにつつましくおだやかだった―。そう信じていたが、じつは思わぬ蛇行を繰り返していたのだった。亡くなってから意外な横顔に触れた娘は、あらためて父の生き方に思いを馳せるが…。遠ざかる昭和の原風景とともに描き出すある家族の物語。

(「BOOK」データベースより)

第43回
2015年

骨風

篠原勝之

十七歳、家出少年の人生は、挫折、家族解散、借金返済の自転車操業。老いてなお逃げ続ける脚力で描き切った、崖っぷちの連作集!

(「BOOK」データベースより)

第42回
2014年

妻が椎茸だったころ

中島京子

オレゴンの片田舎で出会った老婦人が、禁断の愛を語る「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」。暮らしている部屋まで知っている彼に、恋人が出来た。ほろ苦い思いを描いた「ラフレシアナ」。先に逝った妻がレシピ帳に残した言葉が、夫婦の記憶の扉を開く「妻が椎茸だったころ」。卒業旅行で訪れた温泉宿で出会った奇妙な男「蔵篠猿宿パラサイト」。一人暮らしで亡くなった伯母の家を訪ねてきた、甥みたいだという男が語る意外な話「ハクビシンを飼う」。5つの短篇を収録した最新作品集。

(「内容紹介」より)

第42回
2014年

たまもの

小池昌代

40歳になって、別れた恋人から山尾という名の赤ん坊を預かった「わたし」。以来10年余、せんべい工場の契約社員をしながら山尾を育ててきた。知人男性との逢瀬を重ねながらも、山尾に実の息子同然の愛情を注ぐ「わたし」。初老にさしかかり、母と女の狭間を生きる、シングルマザーの日常。

(「内容紹介」より)

第41回
2013年

往古来今

磯崎憲一郎

綿々と続く時間の流れのなかで人は何を感じ、受け入れ、進むべき道を選ぶのか――「過去」と「いま」が交錯する比類なき五つの物語。 自分のなかの「小説の力」を信じて新境地に挑んだ、芥川賞作家の意欲作!

(「内容紹介」より)

第40回
2012年

かなたの子

角田光代

生まれなかった子が、新たな命を身ごもった母に語りかける。あたしは、海のそばの「くけど」にいるよ―。日本の土俗的な物語に宿る残酷と悲しみが、現代に甦る。闇、前世、道理、因果。近づいてくる身の粟立つような恐怖と、包み込む慈愛の光。時空を超え女たちの命を描ききる傑作短編集。泉鏡花文学賞受賞。

(「BOOK」データベースより)

第39回
2011年

大江戸釣客伝

夢枕獏

綱吉治世の元禄時代、釣りに出た絵師・朝湖と俳人・其角は江戸湾で屍体を釣り上げる。竿を持ち、笑みを浮かべながら流れ死んだ男の正体は?一方、旗本・采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。義父・吉良上野介の計らいで、「生類憐みの令」を発布した将軍・綱吉の側小姓となるが…。第46回吉川英治文学賞、第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、3冠達成の時代小説。

(「BOOK」データベースより)

第39回
2011年

風景

瀬戸内寂聴

安吾賞受賞とともに、かつての破滅的な恋と死が胸に蘇る「デスマスク」、戦中動乱の北京で運命的に出会った恩人との再会と別れを綴った「絆」、得度を目前にして揺れる女心と、師僧の言葉をはじめて明かした「そういう一日」―。野間文芸賞受賞作『場所』の対をなす、珠玉の短編集。

(「BOOK」データベースより)

第38回
2010年

河原者ノススメ-死穢と修羅の記憶

篠田正浩

芸能がつくりあげた荒唐無稽こそ、宇宙の片隅で漂う人間の叡智の産物かもしれない。構想50年―日本映画界の旗手が、芸能者たちの“運命”を追跡し、この国の“歴史”が時系列で記される単純化に抗する、渾身の書き下ろし作品。

(「BOOK」データベースより)

第37回
2009年

魚神

千早茜

かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。第21回小説すばる新人賞、第37回泉鏡花文学賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第36回
2008年

ぶるうらんど

横尾忠則

生と死のあいだ、此岸と彼岸をただよう永遠の愛の物語(短編連作『ぶるうらんど』第36回泉鏡花文学賞受賞作)に、異国(スペイン、アマゾン、カシミール)を旅する極彩色の幻想奇譚集『ポルト・リガトの館』をあわせて傑作幻想小説集。

(「BOOK」データベースより)

第36回
2008年

草すべり、その他の短編

南木佳士

高校の同級生だった女性から手紙が届き、四十年ぶりに再会して登った浅間山での一日。青春の輝きに満ちていた彼女だったが…。人生の復路に始めた山歩きだからこそ知るかけがえのないものとは。過ぎゆく時のいとおしさが稜線を渡る風とともに身の内を吹きぬける山歩き短篇集。各賞で絶賛された珠玉の四篇収録。

(「BOOK」データベースより)

第35回
2007年

道元禅師

立松和平

源平戦乱の余燼さめやらぬ鎌倉初期、京都の摂関家・藤原基房の娘伊子を母に、村上源氏の流れを汲む名門家の歌人・久我通具を父に生まれた道元は、瞳が二重の「重瞳の子」のため天下人か大聖人になるとの予言を受ける。幼少のうちに母を失い世の無常を身に染みて感じた道元は、真実の道を求めて出家。建仁寺で栄西の弟子・明全に師事したが、正法を求める思い止み難く宋へと向かった。仏教の革命者の全生涯を描いた初の大河小説。第三十五回泉鏡花文学賞・第五回親鸞賞。

(「BOOK」データベースより)

第35回
2007年

特別賞
鏡花恋唄

大鷹不二雄

第34回
2006年

悪党芭蕉

嵐山光三郎

ならず者と遊び人が集った蕉門、美男弟子との衆道関係、あの句にこめられた危険な秘密…いつしか神格化され「求道の人」のアイドルとなった松尾芭蕉。しかしその素顔は、芥川龍之介に「日本の生んだ三百年前の大山師」と言わしめるほど、凄腕の不良だった!「俳聖」を敢えて俗人と同じレベルで再考し、犯罪すれすれのところに成立した俳諧の真の凄味に迫る、画期的芭蕉論。第34回泉鏡花文学賞&第58回読売文学賞W受賞。

(「BOOK」データベースより)

第33回
2005年

楽園の鳥-カルカッタ幻想曲-

寮美千子

仕事が成功しても、孤独な心は癒せない。消えた恋人を追い「世界の果て」へとさまよいでたミチカは、三十代の童話作家。バンコク・カルカッタ・カトゥマンドゥ・ヒマラヤ山中、そしてベンガル湾。混沌の都市と美しい自然を舞台に傷ついた心が交錯する。ガンジスの源流から河口までを巡る旅に救いはあるのか?死ぬほど美し大地を見下ろしながら、脚のない「楽園の鳥」は飛びつづける。ディープ・アジアを旅する恋愛冒険紀行小説。

(「BOOK」データベースより)

第32回
2004年

ブラフマンの埋葬

小川洋子

ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している“創作者の家”。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた―。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。第32回泉鏡花賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第31回
2003年

グロテスク

桐野夏生

名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」。悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。ユリコの姉である“わたし”は二人を激しく憎み、陥れようとする。圧倒的な筆致で現代女性の生を描ききった、桐野文学の金字塔。

(「BOOK」データベースより)

第31回
2003年

輝く日の宮

丸谷才一

女性国文学者・杉安佐子は『源氏物語』には「輝く日の宮」という巻があったと考えていた。水を扱う会社に勤める長良との恋に悩みながら、安佐子は幻の一帖の謎を追い、研究者としても成長していく。文芸批評や翻訳など丸谷文学のエッセンスが注ぎ込まれ、章ごとに変わる文章のスタイルでも話題を呼んだ、傑作長編小説。朝日賞・泉鏡花賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第30回
2002年

「文壇」およびそれに至る文業

野坂昭如

個々の作品ではなく野坂昭如氏の功績を称えています

第29回
2001年

幽界森娘異聞

笙野頼子

五感で選び取った世界を唯一無二の絢爛たる文章で描き、今も熱心に読み継がれ愛される作家、「森娘」。春の日、雑司が谷の路上で主人公は彼女の姿を?「贅沢貧乏を読むまで人は死ねない」と断言する著者が無上の愛と敬意をもって織りなし時空を震わす、作家同士、魂と言葉の一大セッション。泉鏡花文学賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第29回
2001年

蕭々館日録

久世光彦

夜ごと「蕭々館」でくりひろげられる、文学談義、名文暗誦合戦、そして嘘か真か判然としない話の数々…。芥川龍之介、菊池寛、小島政二郎。青春をともにした三人の作家を描きながら「大正」という時代への想いを綴る傑作長篇。泉鏡花文学賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第28回
2000年

ヒナギクのお茶の場合

多和田葉子

緑の髪の舞台美術家と小説家のわたしの交友を描いてえもいわれぬ可笑しみを湛えた表題作、恋愛小説ぐるいの少女が“ボクトーキタン”を追体験する「所有者のパスワード」ほか全8篇。日本語小説の閾を見据えたスリリングな最新短篇集。

(「BOOK」データベースより)

第27回
1999年

種村季弘のネオ・ラビリントス / 幻想のエロス ほか

種村季弘

単行本から未収録作品まで、各巻毎にテーマ別に分類し、種村季弘の新たな迷宮世界を現出させた待望の著作集。

(「BOOK」データベースより)

第27回
1999年

箱の夫

吉田知子

夫を運ぶのにちょうどいい大きさの箱はあるかしら?“小さな”夫との奇妙で幸福な日々。しかし、ある日…。たしかな手ごたえを持っていたはずの現実が、ふとあやうくなる瞬間を鮮やかに描き出す、待望の作品集。

(「BOOK」データベースより)

第26回
1998年

道頓堀の雨に別れて以来なり─川柳作家・岸本水府とその時代

田辺聖子

大阪の川柳結社「番傘」を率いた岸本水府と、川柳に生涯を賭けた盟友たち…。川柳への深い造詣と敬愛で、その豊醇、肥沃な文学的魅力を描き尽す伝記巨篇。上巻は、若き水府と、柳友たちとの出会い、「番傘」創刊、大正柳壇の展望から新興川柳の抬頭までを描く。

(「BOOK」データベースより)

第25回
1997年

嗤う伊右衛門

京極夏彦

疱瘡を病み、姿崩れても、なお凛として正しさを失わぬ女、岩。娘・岩を不憫に思うと共に、お家断絶を憂う父・民谷又左衛門。そして、その民谷家へ婿入りすることになった、ついぞ笑ったことなぞない生真面目な浪人・伊右衛門―。渦巻く数々の陰惨な事件の果てに明らかになる、全てを飲み込むほどの情念とは―!?愛と憎、美と醜、正気と狂気、此岸と彼岸の間に滲む江戸の闇を切り取り、お岩と伊右衛門の物語を、怪しく美しく蘇らせる。四世鶴屋南北『東海道四谷怪談』に並ぶ、著者渾身の傑作怪談。

(「BOOK」データベースより)

第25回
1997年

鎌倉のおばさん

村松友視

父であり祖父である村松梢風の、最後の道連れだったひと。母であり祖母である梢風の妻に育てられた私にとって、梢風とそのひとが暮らす鎌倉の家は特別な場所だった。放蕩三味の文人梢風との生活のなかで、そのひとは、年齢や経歴をさまざまに偽って人生を紡ぎだしてゆき、それはいつしか、父も母も死んだと言い聞かされて育てられた私の、出生と生い立ちへの思いに、複雑に交錯してゆく…。村松家の秘められた物語。

(「BOOK」データベースより)

第24回
1996年

アニマル・ ロジック

山田詠美

主人公は、ヤスミン。黒い肌の美しき野獣。人間の動物園、マンハッタンに棲息中。あらゆる本能を手下にして幸福をむさぼる彼女は、言葉よりも、愛の理論よりも、とりこになった五感のせつなさを信じている。物語るのは、私。かねてヤスミンとは、一喜一憂を共にしてきた。なにせ彼女の中を巡り流れる「無垢」に、棲みついている私だから…。小説の奔流、1000枚の至福。泉鏡花賞。

(「BOOK」データベースより)

第24回
1996年

フルハウス

柳美里

「家を建てる」が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、本当に家を建ててしまう。しかし、娘たちも、十六年前に家を出た妻もその家には寄りつかなかった。そこで、父はホームレスの一家を家に招き、一緒に暮らし始めるのだが…。第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞受賞の表題作のほか、不倫の顛末を通して家族の不在をコミカルに描いた「もやし」を収録。

(「BOOK」データベースより)

第23回
1995年

夢の方位

辻章

夢と現実との境界“日暮し坂”。幼年期に遡る魔術の瞬間、“日暮し坂”に佇む男の胸に去来する美しくも危うい光景…。人生の原景を透明な視線で描き、時空を超えた魂の永遠を謳う渾身の長篇力作。

(「BOOK」データベースより)

第22回
1994年

該当作品なし

第21回
1993年

喪服の子

山本道子

南国の大自然を背景に繊細な感覚で描く人生の幸福とは?秀作中・短篇5篇。

(「BOOK」データベースより)

第20回
1992年

彼岸先生

島田雅彦

ポルノなんだか、SFなんだか、政治小説なのか、ミステリーなのかわからない不思議な恋愛小説を書いている小説家の先生は川の向う岸に住んでいる。だから…彼岸先生。東京、ニューヨークで女性遍歴を重ねたドン・ファンで、プロの嘘つきである先生を、ぼくは人生の師と見立てたのだった。ロシア語を学ぶ十九歳のぼくと三十七歳の先生の奇妙な師弟関係を描いた平成版「こころ」。泉鏡花文学賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第20回
1992年

駆ける少年

鷺沢萠

なぜ少年は走り続けるのか。ある夜見た夢がきっかけとなって、龍之は死んだ父のことを調べ始める。過去帳の中に記された見知らぬ名前から明らかになってゆく父の複雑な人生。父とは誰だったのか。私とは何なのか。青年の感性をみずみずしくとらえた表題作をはじめとする三篇を収録。第二十回泉鏡花文学賞受賞。

(「BOOK」データベースより)

第19回
1991年

踊ろう、マヤ

有為エンジェル

イギリスのミュージシャンFと結婚したウイは1人娘マヤを生む。が、Fとその母親たちのエゴと異国での生活に疲れたウイは4歳のマヤを伴って日本へ帰国する。3年後、愛らしく成長したマヤは残酷な運命の下、車に轢かれ死ぬ。マヤを失ったウイとFは葬儀の日に再会したが……。泉鏡花賞受賞の愛の佳品。

(「内容紹介」より)

第18回
1990年

泥汽車

日影丈吉

ある日原っぱに敷かれた線路、毎日泥を運んで来ては池を埋めたてる汽車。その汽車に乗って森に着いた少年が、伐採された木々の中に見たものは―。風変りな夢物語6編。

(「BOOK」データベースより)

第17回
1989年

深川澪通り木戸番小屋

北原亞以子

川沿い澪通りの木戸番夫婦は、人に言えない苦労の末に、深川に流れて来たと噂されている。思い通りにならない暮らしに苦しむ人々は、この二人を訪れて知恵を借り、生きる力を取りもどしてゆく。傷つきながらも、まっとうに生きようとつとめる市井の男女を、こまやかに暖かく描く、泉鏡花賞受賞の名作集。

(「BOOK」データベースより)

第17回
1989年

野分酒場

石和鷹

東京・下町にある居酒屋の暖簾をくぐる仲間たちの間に漂然と巻き上がる一陣の野分。市井の物語を軽妙な語り口で綴り、その底にある荒涼とした風景を現前させた力作短篇集。

(「BOOK」データベースより)

第16回
1988年

ムーンライト・シャドウ
(キッチンに収録)

吉本ばなな

家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減っていって、自分がひとりここにいるのだと、ふと思い出すと目の前にあるものがすべて、うそに見えてくる―。唯一の肉親の祖母を亡くしたみかげが、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に同居する。日々のくらしの中、何気ない二人の優しさにみかげは孤独な心を和ませていくのだが…。世界二十五国で翻訳され、読みつがれる永遠のベスト・セラー小説。泉鏡花文学賞受賞。

(「BOOK」データベースより)

第16回
1988年

折鶴

泡坂妻夫

縫箔の職人田毎はパーティでかつての恋人だった鶴子と再会した。この出逢いが悲劇へとつながる表題作「折鶴」。友禅差しの模様師脇田が旅先でふと聞いた新内がきっかけで、酒と女で身を持ちくずした名新内語りの末路を知る「忍火山恋唄」など、職人の世界に男と女の結びつきの不可解さをからませた好短篇四作。

(「BOOK」データベースより)

第15回
1987年

朝稲日出夫シュージの放浪

朝稲日出夫

パリ、ブラッセル、アムステルダム、ハンブルグ、そしてラスパルマス。折り紙を売りながらの、あてのない旅。街々で女の熱い肌にふれ、友をつくり、ときには警官に追われる日々。どんな時にも、青年の躰には澄明な風が吹きつけていた。さまざまな人種の、民族の、若い男女のゆきかいを描く秀作。

(「BOOK」データベースより)

第15回
1987年

アマノン国往還記

倉橋由美子

モノカミ教団が支配する世界から、幻の国アマノンに布教のため派遣された宣教師団。バリヤの突破に成功した唯一の宣教師Pを持っていたのは、一切の思想や観念を受け容れない女性国だった。男を排除し生殖は人工受精によって行われるこの国に〈男〉と〈女〉を復活させるべく,Pは「オッス革命」の遂行に奮闘するが…。究極の女性化社会で繰り広げられる、性と宗教と革命の大冒険。

(「BOOK」データベースより)

第14回
1986年

シングル・セル

増田みず子

孤細胞(シングル・セル)のように生きる一大学院生と女子学生の共生と別離―単独者の生の論理を思考実験的に追究し、人間の永遠の孤独を豊かな筆力で描き切った最新長篇小説!

(「BOOK」データベースより)

第13回
1985年

殺意の風景

宮脇俊三

私の彼は毎日一人で樹海へ入っていく。植物採集のため?木に結びつけられたリボンを頼りにあとを追ってみるけれど、彼の姿は見えない。私はリボンをひとつひとつ…。(樹海の巻)日本全国18カ所―大自然の中の特異な景観を舞台に、人間の心の奥底に潜む本能的な怯え、戦慄を描いたスリリングな旅のミステリー。著者唯一の連作小説集。泉鏡花賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第12回
1984年

海峡 / 八雲が殺した

赤江瀑

花やかな風貌,精悍な体躯に恵まれたAは、俳優になった。順調に俳優生活を続け、俳優業がこれから地に着き、拓けはじめようとした矢先、Aは生地の国へ帰り、山奥の病院へ入った。Aは完全にこちら側の人間ではなくなった、「この海峡を渡らなきゃァな。渡ってむこう岸へ着かなきゃ、出世ができない。餓鬼の頃、海峡を見るたびにそう思ったものさ」と下の盆地を眺めていう。ここにも、そこにも海峡がある。青い海色の遊び着きて、うなじのうしろに野性の馬が疾駆する地ひびきを飼いながら、思いつくままに、海峡を語る幻視行。第12回泉鏡花賞受賞作品。(海峡)

(「BOOK」データベースより)

第11回
1983年

光る女

小檜山博

「おまえ俺の嫁にならんか」が仙作の口癖だった。北海道の過疎村に生まれ育った仙作は何事にも真直ぐな生き方を好んだ。たった一度の契りを交わした栗子を求め東京のウズの中にまき込まれた。栗子がくれた1枚のハガキをたよりに…。歯切れよい文体の中に濃厚なエロティシズムが勾う長篇力作。泉鏡花文学賞・北海道新聞文学賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第11回
1983年

鬼どもの夜は深い

三枝和子

第10回
1982年

抱擁

日野啓三

大都会のまんなかに静かに佇む洋館に心引かれ導かれた私は、その一室で幻想的な少女、霧子と出会う。身を固く包んで口さえ開こうとしない霧子に、私の興味はふくらむ。そしていくどかの奇妙な触れ合いの末に、霧子の心は徐々に開かれてゆく…。泉鏡花賞に輝くロマネスク長篇小説。

(「BOOK」データベースより)

第9回
1981年

虚人たち

筒井康隆

同時に、しかも別々に誘拐された美貌の妻と娘の悲鳴がはるかに聞こえる。自らが小説の登場人物であることを意識しつつ、主人公は必死の捜索に出るが…。小説形式からのその恐ろしいまでの“自由”に、現実の制約は蒼ざめ、読者さえも立ちすくむ前人未踏の話題作。泉鏡花賞受賞。

(「BOOK」データベースより)

第9回
1981年

唐草物語

澁澤龍彦

古今東西の典籍を自在に換骨奪胎し、小説とエッセイのあわいを縫って物語られた12の幻想。

(「BOOK」データベースより)

第8回
1980年

雪女

森万紀子

第8回
1980年

わが魂は輝く水なり

清水邦夫

第7回
1979年

プラトン的恋愛

金井美恵子

第7回
1979年

消滅の光輪

眉村卓

第6回
1978年

海星・河童

唐十郎

第5回
1977年

草の臥所

津島佑子

第5回
1977年

怪しい来客簿

色川武大

私が関東平野で生まれ育ったせいであろうか、地面というものは平らなものだと思ってしまっているようなところがある―「門の前の青春」。亡くなった叔父が、頻々と私のところを訊ねてくるようになった―「墓」。独自の性癖と感性、幻想が醸す妖しの世界を清冽に描き泉鏡花賞を受賞した、世評高い連作短篇。

(「BOOK」データベースより)

第4回
1976年

誘惑者

高橋たか子

噴煙をあげる三原山に、女子大生が二人登っていった。だが、夜更けに下山してきたのは一人きりだった。ちょうど一カ月前にも、まったく同じことがあった。自殺願望の友人二人に、それぞれ三原山まで同行して、底知れぬ火口の縁に佇たせた自殺幇助者鳥居哲代の心理の軌跡を見事に辿り、悽絶な魂のドラマを構築した、高橋たか子の初期長篇代表作。泉鏡花賞受賞。

(「BOOK」データベースより)

第3回
1975年

甘い蜜の部屋

森茉莉

少女モイラは美しい悪魔だ。生まれ持った天使の美貌、無意識の媚態、皮膚から放つ香気。薔薇の蜜で男達を次々と溺れ死なせながら、彼女自身は無垢な子供であり続ける。この恐るべき可憐なけものが棲むのは、父親と二人の濃密な愛の部屋だ―。大正時代を背景に、宝石のような言葉で紡がれたロマネスク。

(「BOOK」データベースより)

第2回
1974年

悪夢の骨牌

中井英夫

ゴシック風の豪奢な洋館のサロンで開かれる賀宴の出席者は、十人の客とサロンの女主人、そして令嬢柚香。そこで語られるのは、現実と非現実をあざなう奇譚の数々。ことばの錬金術師として当代随一の著者が、鮮やかな言語魔術と精緻な構想を駆使、幻想の宇宙体を作る連作とらんぷ譚2。泉鏡花文学賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第1回
1973年

翔ぶ影

森内俊雄

第1回
1973年

産霊山秘録

半村良

はるか古代から続く「ヒ」一族は、国が動乱期にさしかかると、特殊な能力を使って危機を救ってきたといわれる。その能力とは、御鏡、依玉、伊吹と呼ばれる三種の神器を使ったテレパシー、テレポーテーションであった。物語は戦国の世、織田信長の比叡山焼き討ちから始まり、関ヶ原、幕末、太平洋戦争、そして戦後の混乱期へと四百年の時を越える。歴史の襞の中で動く「ヒ」一族を圧倒的スケールで描くSF伝奇ロマンの傑作。

(「BOOK」データベースより)


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