吉川英治文学新人賞受賞作

吉川英治文学新人賞は財団法人吉川英治国民文化振興会が主催する文学賞です。新人賞となっていますが、実際には殆ど中堅作家が受賞しています。ベテラン作家中心の吉川英治文学賞との違い(選考基準)が今ひとつ分かりづらい気がします。
以下は受賞作です。

年度 作品名 内容

第41回
2020年

八本目の槍

今村翔吾

秀吉の配下となった八人の若者。武勲を上げた七人は「賎ケ岳の七本槍」とよばれるようになる。「出世」だけを願う者、「愛」だけを欲する者、「裏切り」だけを求められる者―。己の望みに正直な男たちは、迷いながらも、別々の道を進んだ。残りのひとりは、時代に抗い、関ケ原で散る。この小説を読み終えたとき、その男、石田三成のことを、あなたは好きになるだろう。共に生き、戦った「賎ケ岳の七本槍」だけが知る石田三成の本当の姿。そこに「戦国」の答えがある!

(「BOOK」データベースより)

第41回
2020年

スワン

呉勝浩

巨大ショッピングモール「スワン」で起きた無差別銃撃事件。死者21名を出した悲劇の渦中で、高校生のいずみは犯人と接しながら生き延びた。しかし、同じく事件に遭遇した同級生・小梢により、次に誰を殺すか、いずみの指名によって犯行が行われたという事実が週刊誌で暴露される。被害者から一転、非難の的となったいずみ。そんななか、彼女のもとに招待状が届く。集められたのは事件に巻き込まれ、生き残った5人の関係者。目的は事件の中のひとつの「死」の真相をあきらかにすること。その日、本当に起こったこととはなんだったのか?

(「BOOK」データベースより)

第40回
2019年

歪んだ波紋

塩田武士

「誤報」にまつわる5つの物語。新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディア―昭和が終わり、平成も終わる。気づけば私たちは、リアルもフェイクも混じった膨大な情報に囲まれていた。その混沌につけ込み、真実を歪ませて「革命」を企む“わるいやつら”が、この国で蠢いている。松本清張は「戦争」を背負って昭和を描いた。塩田武士は「情報」を背負い、平成と未来を描く。全日本人必読。背筋も凍る世界が見えてくる。

(「BOOK」データベースより)

第39回
2018年

Ank: a mirroring ape

佐藤究

2026年、多数の死者を出した京都暴動。ウィルス、病原菌、化学物質が原因ではない。そしてテロ攻撃の可能性もない。発端となったのは一頭の類人猿。東アフリカからきた「アンク(鏡)」という名のチンパンジーだった―。

(「BOOK」データベースより)

第38回
2017年

ミッドナイト・ジャーナル

本城雅人

「被害者女児死亡」―世紀の大誤報を打ち、飛ばされた3人の記者。7年後、児童連続誘拐事件が発生する。さいたま支局の関口豪太郎はかつての事件との関連性を疑い、本社の遊軍記者・藤瀬祐里は豪太郎の応援に合流し、整理部員となった松本博史は冷めた目で静観する。警察も、目撃者も、記者も上司も嘘をつく。しかし豪太郎は、絶対に諦めない。記者歴20年の著者が書き下ろす感動の社会派エンタメ!!

(「BOOK」データベースより)

第38回
2017年

彼女がエスパーだったころ

宮内悠介

百匹目の猿、エスパー、オーギトミー、代替医療…人類の叡智=科学では捉えきれない「超常現象」を通して、人間は「再発見」される―。202X年の世界的人気作家、最新作!

(「BOOK」データベースより)

第37回
2016年

Aではない君と

薬丸岳

勤務中の吉永のもとに警察がやってきた。元妻が引き取った息子の翼が死体遺棄容疑で逮捕されたという。しかし翼は弁護士に何も話さない。吉永は少年法十条に保護者自らが弁護士に代わって話を聞ける『付添人制度』があることを知る。生活が混乱を極めるなか真相を探る吉永に、刻一刻と少年審判の日が迫る。

(「BOOK」データベースより)

第36回
2015年

まるまるの毬

西條奈加

親子三代で菓子を商う「南星屋」は、売り切れご免の繁盛店。武家の身分を捨てて職人となった治兵衛を主に、出戻り娘のお永とひと粒種の看板娘、お君が切り盛りするこの店には、他人に言えぬ秘密があった。愛嬌があふれ、揺るぎない人の心の温かさを描いた、読み味絶品の時代小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第35回
2014年

村上海賊の娘

和田竜

和睦が崩れ、信長に攻め立てられる大坂本願寺。海路からの支援を乞われた毛利は村上海賊に頼ろうとした。その娘、景は海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女だった…。

(「BOOK」データベースより)

第34回
2013年

機龍警察 暗黒市場

月村了衛

警視庁との契約を解除されたユーリ・オズノフ元警部は、旧知のロシアン・マフィアと組んで武器密売に手を染めた。一方、市場に流出した新型機甲兵装が“龍機兵(ドラグーン)”の同型機ではないかとの疑念を抱く沖津特捜部長は、ブラックマーケット壊滅作戦に着手した―日本とロシア、二つの国をつなぐ警察官の秘められた絆。リアルにしてスペクタクルな“至近未来”警察小説、世界水準を宣言する白熱と興奮の第3弾。

(「BOOK」データベースより)

第34回
2013年

國を蹴った男

伊東潤

信玄や信長、秀吉は天下に手を伸ばした名将でありながら、ときに義を忘れ欲から逃れられずに生涯を閉じた。一方で、彼らに翻弄されつつも恩を重んじ、自らの信念を貫き通した者たちがいた。明日なき乱世で、誇り高き牢人、茶人、職人らが命を賭して挑む、それぞれの戦いを活写する。吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第33回
2012年

地の底のヤマ

西村健

昭和三十八年。福岡県の三池炭鉱で大規模な爆発事故が起きた夜に、一人の警察官が殺された。その息子・猿渡鉄男は、やがて父と同じく地元の警察官となり、事件の行方を追い始める。労働争議や炭塵爆発事故の下、懸命に生きる三池の人々と、「戦後の昭和」ならではの事件を描いた、社会派大河ミステリー。

(「BOOK」データベースより)

第32回
2011年

ツナグ

辻村深月

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

(「BOOK」データベースより)

第31回
2010年

天地明察

冲方丁

徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く―。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。第7回本屋大賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第31回
2010年

鉄の骨

池井戸潤

中堅ゼネコン・一松組の若手、富島平太が異動した先は“談合課”と揶揄される、大口公共事業の受注部署だった。今度の地下鉄工事を取らないと、ウチが傾く―技術力を武器に真正面から入札に挑もうとする平太らの前に「談合」の壁が。組織に殉じるか、正義を信じるか。吉川英治文学新人賞に輝いた白熱の人間ドラマ。

(「BOOK」データベースより)

第30回
2009年

ジョーカー・ゲーム

柳広司

結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく…。吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞に輝く究極のスパイ・ミステリー。

(「BOOK」データベースより)

第30回
2009年

田村はまだか

朝倉かすみ

深夜のバー。小学校のクラス会三次会。男女五人が、大雪で列車が遅れてクラス会に間に合わなかった同級生「田村」を待つ。各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たちのこと。それにつけても田村はまだか。来いよ、田村。そしてラストには怒涛の感動が待ち受ける。’09年、第30回吉川英治文学新人賞受賞作。傑作短編「おまえ、井上鏡子だろう」を特別収録。

(「BOOK」データベースより)

第29回
2008年

ミノタウロス

佐藤亜紀

帝政ロシア崩壊直後の、ウクライナ地方、ミハイロフカ。成り上がり地主の小倅(こせがれ)、ヴァシリ・ペトローヴィチは、人を殺して故郷を蹴り出て、同じような流れ者たちと悪の限りを尽くしながら狂奔する。発表されるやいなや嵐のような賞賛を巻き起こしたピカレスクロマンの傑作。第29回吉川英治文学新人賞受賞。

(「BOOK」データベースより)

第28回
2007年

一瞬の風になれ

佐藤多佳子

春野台高校陸上部、一年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感…。ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説、第一部、スタート。

(「BOOK」データベースより)

第27回
2006年

隠蔽捜査

今野敏

竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。その朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身を捧げるべきだ。私はそれに従って生きているにすぎない、と。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第26回
2005年

幸福な食卓

瀬尾まいこ

切なさの分だけ家族は確かにつながっていく佐和子の家族はちょっとヘン。父をやめると宣言した父、家出中の母、秀才の兄。この家族と佐和子の恋を切なく温かい筆致で描き、映画化でも話題となった感動作。

(「BOOK」データベースより)

第26回
2005年

夜のピクニック

恩田陸

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

(「BOOK」データベースより)

第25回
2004年

ワイルド・ソウル

垣根涼介

その地に着いた時から、地獄が始まった―。1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す!歴史の闇を暴く傑作小説。

(「BOOK」データベースより)

第25回
2004年

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第24回
2003年

其の一日

諸田玲子

安政七年三月三日、井伊家の密偵・可寿江は水戸浪士の不穏な動きを察知し、主君でかつて恋人でもあった直弼に通報しようとするが。「桜田門外の変」「箕輪心中」などの事件を題材に、江戸市中で懸命に生きる人々の、運命を変えた一日を描いた時代小説短編集。全四編を収録。第二十四回吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第24回
2003年

終戦のローレライ

福井晴敏

戦争。もはや原因も定かではなく、誰ひとり自信も確信も持てないまま、行われている戦争。あらかじめ敗北という選択肢を持てなかった戦争。茶番と括るには、あまりにも重すぎる戦争。―その潜水艦は、あてどない航海に出た。太平洋の魔女と恐れられた兵器“ローレライ”を求めて。「彼女」の歌声がもたらすものは、破滅か、それとも―。

(「BOOK」データベースより)

第23回
2002年

パイロットフィッシュ

大崎善生

人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない―。午前二時、アダルト雑誌の編集部に勤める山崎のもとにかかってきた一本の電話。受話器の向こうから聞こえてきたのは、十九年ぶりに聞く由希子の声だった…。記憶の湖の底から浮かび上がる彼女との日々、世話になったバーのマスターやかつての上司だった編集長の沢井、同僚らの印象的な姿、言葉。現在と過去を交錯させながら、出会いと別れのせつなさと、人間が生み出す感情の永遠を、透明感あふれる文体で繊細に綴った、至高のロングセラー青春小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第22回
2001年

深紅

野沢尚

父と母、幼い二人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。正体を隠し、奏子は彼女に会うが!?吉川英治文学新人賞受賞の衝撃作。

(「BOOK」データベースより)

第21回
2000年

深川恋物語

宇江佐真理

大店のお嬢さんが、お仕着せの人生を捨て、真に愛する人と共に生きようとする姿が清清しい「下駄屋おけい」。互いを想う気持ちがすれ違っていく夫婦の、やりきれなさが胸に迫る「さびしい水音」。交錯する恋心に翻弄されていく男女四人の哀しみが描かれる「仙台堀」など、江戸・深川を舞台に繰りひろげられる、六つの切ない恋物語。第21回吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第20回
1999年

恋愛中毒

山本文緒

もう神様にお願いするのはやめよう。―どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。哀しい祈りを貫きとおそうとする水無月。彼女の堅く閉ざされた心に、小説家創路は強引に踏み込んできた。人を愛することがなければこれほど苦しむ事もなかったのに。世界の一部にすぎないはずの恋が私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。

(「BOOK」データベースより)

第19回
1998年

皆月

花村萬月

諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた一千万円の貯金とともに蒸発してしまった。人生に躓き挫折した夫、妻も仕事も金も希望も、すべて失った中年男を救うのは、ヤクザ者の義弟とソープ嬢!?胸を打ち、魂を震わせる「再生」の物語。吉川英治文学新人賞受賞作品。

(「BOOK」データベースより)

第18回
1997年

不夜城

馳星周

アジア屈指の歓楽街・新宿歌舞伎町の中国黒社会を器用に生き抜く劉健一。だが、かつての相棒・呉富春が町に戻り、事態は変わった。生き残るために嘘と裏切りを重ねる人間たちの危険な物語。

(「内容紹介」より)

第18回
1997年

鷲の驕り

服部真澄

「発明家クレイソンを調査してほしい」在米のコンピュータ・セキュリティの専門家笹生勁史に、通産省から極秘依頼があった。クレイソンは日本企業に訴訟を起こし、巨万の富を得ているという。問題は、米国の「特許法」の特異性にあった。先端技術の特許を牛耳る米国に、日本、そして正体不明の産業スパイ、マフィア、ハッカーが暗躍、手に汗握る国際サスペンス巨編。

(「BOOK」データベースより)

第17回
1996年

らせん

鈴木光司

幼い息子を海で亡くした監察医の安藤は、謎の死を遂げた友人・高山竜司の解剖を担当した。冠動脈から正体不明の肉腫が発見され、遺体からはみ出た新聞紙に書かれた数字は、ある言葉を暗示していた。…「リング」とは?死因を追う安藤が、ついに到達する真理。それは人類進化の扉か、破滅への階段なのか。史上かつてないストーリーと圧倒的リアリティで、今世紀最高のカルトホラーとしてセンセーションを巻き起こしたベストセラー、待望の文庫化。

(「BOOK」データベースより)

第17回
1996年

ホワイトアウト

真保裕一

日本最大の貯水量を誇るダムが、武装グループに占拠された。職員、ふもとの住民を人質に、要求は50億円。残された時間は24時間! 荒れ狂う吹雪をついて、ひとりの男が敢然と立ち上がる。同僚と、かつて自分の過失で亡くした友の婚約者を救うために――。圧倒的な描写力、緊迫感あふれるストーリー展開で話題をさらった、アクション・サスペンスの最高峰。吉川英治文学新人賞受賞。

(「内容紹介」より)

第16回
1995年

刑務所ものがたり

小嵐九八郎

懲罰にも負けず、一日一合のドブロクを呑み、いつもニコニコ笑っている。私はこんな囚人になりたい。笑いと涙のレジスタンス小説。

(「BOOK」データベースより)

第16回
1995年

地下鉄に乗って

浅田次郎

永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは30年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため……。思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド。吉川英治文学新人賞に輝く名作。

(「内容紹介」より)

第15回
1994年

樹の上の草魚

薄井ゆうじ

ペニスのことなんて、いったい誰に相談すればいいんだ。僕は、男なのか女なのか。いや、そもそも僕はなんなのだろうか。アンドロジナスな主人公、そして登場人物の温かく細やかな心のゆらぎは、読む者の内面にやさしく触れ、本当の自分を気付かせてくれる。温かい感動をよぶ、吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第15回
1994年

大砲松

東郷隆

神田和泉橋の五兵衛店(だな)に住む締出し松こと松三は、故あっての長屋暮らしだが贅沢三昧。実は大名家お出入りを許された槍屋「槍丹」の息子である。時は幕末、慶応4年、背中の傷(いれずみ)を見こまれて上野彰義隊へ入隊、大砲掛を仰せつけられたまではよかったが……。吉川英治文学新人賞受賞の破天荒な痛快時代小説。

(「内容紹介」より)

第14回
1993年

三たびの海峡

帚木蓬生

「一度目」は戦時下の強制連行だった。朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。「二度目」は愛する日本女性との祖国への旅。地獄を後にした二人はささやかな幸福を噛みしめたのだが…。戦後半世紀を経た今、私は「三度目の海峡」を越えねばならなかった。“海峡”を渡り、強く成長する男の姿と、日韓史の深部を誠実に重ねて描く山本賞作家の本格長編。吉川英治文学新人賞受賞作品。

(「BOOK」データベースより)

第13回
1992年

本所深川ふしぎ草紙

宮部みゆき

近江屋藤兵衛が殺された。下手人は藤兵衛と折り合いの悪かった娘のお美津だという噂が流れたが……。幼い頃お美津に受けた恩義を忘れず、ほのかな思いを抱き続けた職人がことの真相を探る「片葉の芦」。お嬢さんの恋愛成就の願掛けに丑三つ参りを命ぜられた奉公人の娘おりんの出会った怪異の顛末「送り提灯」など深川七不思議を題材に下町人情の世界を描く7編。宮部ワールド時代小説篇。

(「内容紹介」より)

第13回
1992年

今夜、すべてのバーで

中島らも

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような……。アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

(「内容紹介」より)

第12回
1991年

乳房

伊集院静

妻と病室の窓から眺めた満月、行方不明の弟を探しに漕ぎ出た海で見た無数のくらげ、高校生に成長した娘と再会して観た学生野球……せつなく心に残る光景と時間が清冽な文章で刻み込まれた小説集。表題作の他「くらげ」「残塁」「桃の宵橋」「クレープ」と名篇を収録し、話題を呼んだ直木賞作家の、魂の記念碑。

(「内容紹介」より)

第12回
1991年

新宿鮫

大沢在昌

ただ独りで音もなく犯罪者に食いつく―。「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。待ち受ける巧妙な罠!絶体絶命の鮫島…。登場人物の圧倒的な個性と最後まで息をつかせぬ緊迫感!超人気シリーズの輝ける第1作。

(「BOOK」データベースより)

第11回
1990年

土俵を走る殺意

小杉健治

昭和42年夏場所で準優勝した大関・大龍は、横綱審議会の推挙の報を尻目に失踪する。次いで発表された横綱昇進辞退宣言。困惑する角界をよそに、大龍は死んだはずの父親の行方を必死に追っていた―。東京がまだ至るところ工事中だった20年前、濃好な下町情緒のなかで起った殺人事件にからめとられた大龍は、はたして再起できるのか…。東京オリンピック前後のレトロな風俗を織り込みつつ描く、人間味溢れる相撲ミステリー。

(「BOOK」データベースより)

第10回
1989年

99%の誘拐

岡嶋二人

末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには8年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして12年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第10回吉川英治文学新人賞受賞作!

(「内容紹介」より)

第10回
1989年

犬の系譜

椎名誠

私といっしょに世田谷から千葉の海べりの町に引っ越して来た初代パチ。2代目ジョンがいなくなり、父が死に、兄が結婚して母は陽気になった。モップみたいな3代目チヨが死んで、我が家の犬の系譜もとだえてしまった。家族の転変を3代の犬を軸にいきいきと描いた自伝的長編。吉川英治文学新人賞受賞。

(「内容紹介」より)

第9回
1988年

国語入試問題必勝法

清水義範

ピントが外れている文章こそ正解! 問題を読まないでも答はわかる!? 国語が苦手な受験生に家庭教師が伝授する解答術は意表を突く秘技。国語教育と受験技術に対する鋭い諷刺を優しい心で包み、知的な爆笑を引き起こすアイデアにあふれたとてつもない小説集。吉川英治文学新人賞受賞作。

(「内容紹介」より)

第8回
1987年

虎口からの脱出

景山民夫

時の昭和3年、所は奉天。一瞬の爆風とともに、張作霖暗殺さる。唯一の目撃者である少女、麗華を追って、関東軍が立ち上がる。奉天軍、そして国民党軍も動きはじめた…。上海まで1600キロ、期限は3日。日中全軍を敵にまわして、デューセンバーグが中国の大地をひた走る。脱出なるか?日本冒険小説の金字塔、ついに文庫化。日本冒険小説協会新人賞、吉川英治文学新人賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第7回
1986年

総門谷

高橋克彦

岩手県で1年間にわたり、UFOの目撃者が続出、そして奇怪な焼死体さえも! だが、このUFO騒動の裏は? 疑惑を抱く超能力者霧神顕たちは、怖るべきパワーの魔手と闘い、傷つきながらも、ついに魔の本拠・総門谷に潜入した。そこで目にした驚愕の光景とは? 構想15年を費したSF伝奇超大作。

(「内容紹介」より)

第6回
1985年

山猫の夏

船戸与一

舞台はブラジル東北部の町エクルウ。この町では、アンドラーデ家とビーステルフェルト家が、互いに反目し合い、抗争を繰り返している。ある日、アンドラーデ家の息子・フェルナンとビーステルフェルト家の娘・カロリーナが、駆け落ちする。その捜索を依頼された謎の日本人・山猫。ブラジル版ロミオとジュリエットに端を発した、山猫による血で血を洗う追跡劇が始まる。冷酷非道な山猫の正体と思惑、そして結末に明らかにされる衝撃の事実とは…?冒険小説の第一人者が描く、手に汗握る怒涛のストーリー。究極のエンタテイメント小説が復刊

(「BOOK」データベースより)

第5回
1984年

プライベート・ライブ

山口洋子

奇矯な行動で知られるスターと結婚した女優の平晶子は、新婚早々から夫の奔放なふるまいに悩まされる。不貞、暴力、麻薬……。失望し、愛想づかしをはじめるのだが、一方で、世間に対して、妻の姿を演技してみせる自分自身に、いつしか酔ってゆく―。特異な男女関係のあやを濃厚に描く文芸秀作集。

(「BOOK」データベースより)

第5回
1984年

宵待草夜情

連城三紀彦

「さっき、棄てるっていったのは命のこと?―命の棄て場所を探してるってこと?」。友人を裏切り、人生を自堕落に過ごしている古宮の前に現れた女性・鈴子。彼女もまた、悲しい宿命を持った者だった。大正の東京を舞台とした、はかない男女の交歓を軸に描かれる表題作をはじめ、「能師の妻」「野辺の露」「花虐の賦」「未完の盛装」の全五篇を収録した傑作ミステリー集。

(「BOOK」データベースより)

第4回
1983年

眠りなき夜

北方謙三

弁護士・谷の同僚、戸部が失踪、つづいて彼と関わりのあった小山民子が殺された。彼女が書き残したメモを手がかりに、谷は山形県S市に飛んだ。事件の深奥を探る中、早速、3人組に襲われる。黒幕とみられる大物政治家・室井などの名が浮かぶが、事件の謎は深まるばかり。そして戸部の惨殺体発見……。民子との間に何があったのか?室井との関連は?友の死を追って、谷は深い闇を解明すべく、熱い怒りを雪の街に爆発させる。第4回吉川英治文学新人賞、第1回日本冒険小説協会大賞受賞作。

(「BOOK」データベースより)

第4回
1983年

球は転々宇宙間

赤瀬川隼

1980年代終わり、日本のプロ野球は3リーグ18チームの時代を迎えていた。原は横浜、江川は浦和、掛布は千葉へとそれぞれにトレードされていく。大都市集中ではない地元密着のチーム、それは日本の真の地方の時代の幕開きでもあった……。根っからの野球好きである著者が、自らの夢を託し、プロ野球の将来の発展を願って書いたこの処女作は、吉川英治文学新人賞を受賞し、野球ファンからも熱烈に歓迎された。いわば走者一掃の三塁打的後味さわやか近未来野球小説である。

(「内容紹介」より)

第3回
1982年

陸奥甲冑記
寂野

澤田ふじ子

桓武王朝期、統一国家への道を急ぐ天皇は、蝦夷征伐の勅を坂上田村麻呂に下した。部族の独立を守るために迎え撃つのは陸奥国の盟主・阿弖流為。知勇を尽くした長い戦いが始まったが、田村麻呂の慈悲深い同化政策の前に、戦いはしだいにその様相を変えてゆく…。歴史の闇に葬られた民に光をあてた長編小説。

(「BOOK」データベースより)

第2回
1981年

闇と影の百年戦争

南原幹雄

天保期、薩摩藩士・志布志平太は、藩主・島津斉興から「豪商・大丸屋呉服店を探索せよ」との密命を受けた。大丸屋に関わりのある者が藩内に潜入を試みているらしい。八代将軍吉宗の庇護を受けて京に本拠をもち、江戸、大坂は勿論、全国に商圏を広げた大丸屋は、その勢力を薩摩藩まで伸ばそうとしていた。江戸へ上り、探索を開始した平太だが、貯木場に忍び込んだところを襲われる。敵は大丸屋の私兵組織だ…。

(「BOOK」データベースより)

第2回
1981年

絃の聖域

栗本薫

長唄の人間国宝の家元、安東家の邸内で女弟子が殺された。芸事に生きる親子、妾、師弟らが、三弦が響き愛憎渦巻くなかで同居している閉ざされた旧家。家庭教師に通っている青年、伊集院大介の前で繰り広げられる陰謀そして惨劇。その真相とは!?名探偵の誕生を高らかに告げた、栗本薫ミステリーの代表作。

(「BOOK」データベースより)

第1回
1980年

黄金の罠

田中光二

ソウル・漢江付近にあるホテルで郷一人はKCIAの巧妙な罠に陥った。ベッドの下に仕掛けられた古美術品の密輸容疑だったが、釈放条件として、奇妙な提案を受ける。北朝鮮に眠る新羅王朝の宝冠を奪取しろというのだ。やがて郷を含む特務工作隊四人は三十八度線を突破し、宝冠のある軍事要塞付近の洞穴をめざすが…。極限状況下における凄絶な決死行を活写する長編ハードアクション。

第1回
1980年

涸滝

加堂秀三

林義信は大阪府の山村生まれ。父・義次郎は、農業に失敗し、厄介者扱い同様で養鶏場に住み込んでいる。母の君江は若い男と出奔したまま行方不明。義信は、土地での生活を嫌い、役者・俳優への夢を抱いて、上京する。俳優養成所で知り合った平泉基子と同棲、愛欲に束の間の安らぎを求めるが、やがて俳優への道を失う。義信は地道な暮らしをめざし、父親を呼び寄せて、基子との三人暮らしを始めたのだが―。吉川英治文学新人賞受賞作品。

(「BOOK」データベースより)


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