テス・ジェリッツェン「白い首の誘惑」☆☆
RITA賞受賞作「外科医」の続編となるロマンチック・サイコサスペンスです。
前作「外科医」の事件で、女性の子宮を抽出し殺害するという猟奇連続殺人犯に囚われながらも、かろうじて窮地を抜け出して犯人を逮捕したボストン市警の女性刑事リゾーリは、本人は認めないが深刻な事件のトラウマを抱えていた。
そんな中、ニュートン市警の刑事から「外科医」の事件とよく似た猟奇殺人事件が起こったから現場を見て欲しいとの連絡が入る。
両手両足を縛られた上、鋭利な刃物で殺害された若い外科医。そして彼の美しい妻は行方が分からなくなっている。
更に犯行現場を調べるうちに、拘束された夫の目の前で妻が暴行を受けていた形跡が見つかった。
このやり口は「外科医」の事件とは少し違うと思うものの、あの事件の影を感じるリゾーリ。
そして数日後、絞殺された妻の遺体が発見された。
外科医事件の再来かと捜査を進めるリゾーリだったが、なぜか現場にFBI捜査官のゲイブリエル・ディーンが現れて捜査に関与しだす。
ディーンの態度に反発しながらもディーンに惹かれていくリゾーリ。そんな中で服役中だった外科医事件の犯人が脱獄したとの知らせが入り・・・。
前作では少しひ弱な印象があった外科医事件の犯人が、何やら突然ハンニバル・レクター博士のような怪人ぶりを発揮して微妙な違和感を感じましたが、なかなか緊迫感のあるサスペンスでした。
前作が犯人に狙われる女性外科医と捜査を担当する刑事とのロマンスを絡めたロマンチック・サスペンスの要素が強かったのに対し、この作品はリゾーリとディーンのロマンス要素があるものの、ミステリィとしてもロマンス小説としても中途半端な感じがします。
続編がありそうです。