スーザン・クランダル「ひとときの永遠」☆☆

ひとときの永遠

インディアナ州ダーソン郡の小さな田舎町で保安官をしている女性リー・ミッチェルは、まだ幼い頃に両親を事故で亡くした後、何でもこなす優秀な兄に見守られながら優等生として生きてきた。

誰もが知り合いのこの町では彼女は真面目な保安官としか見てもらえず、もうすぐ30歳になるのに恋人すらいない。

心寂しい毎日。このままで良いのかと自問する日々。

あるカーニバルの夜、そんなリーの前に、男らしく魅力的だがどこか謎めいた余所者の男性ウィル・スコットが現れる。

私服でいたリーが保安官だと知らずに、ウィルは観覧車に一緒に乗ろうと誘う。

恵まれない子供の頃、この町で観覧車に乗った時の楽しかった記憶から、ウィルは懐かしい思い出の影をリーの中に見出し、彼女とのひとときの触れ合いを味わうが、実はウィルには決して人には明かせない秘密が有った。


本人が真剣に思い悩む割には、ムリに秘密にしておかなくても良いようなウィル自身の過去でしたが、満たされない気持ちを抱く男と女の出会いが何となくしみじみとした雰囲気を出していて、ロマンス小説というよりも恋愛小説という感じがしっくり来ます。

ウィルに惹かれるリーが、自分の気持と町の人々が抱くウィルに対する疑惑の狭間で、揺れる感情も良かったです。

しかし節目の年に、今までの自分の殻を破って新しい自分を作りたいと思うのは管理人にも覚えがありますけど、なかなか難しい事ですよね。


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