リンダ・ハワード「夜を抱きしめて」☆☆

夜を抱きしめて

愛する夫デレクは生まれたばかりの双子の兄弟を残して突然亡くなった。

若き未亡人となったケイトは心機一転とばかり、大都会のシカゴからアイダホ州の山奥にある寒村に移り、登山客向けの民宿を経営しながら、幼い双子を育てる事に忙しい毎日を過ごしていた。

山奥の、ちょっとした買い物に行くにも遠く離れた町まで出かけなくてはならない陸の孤島のような小さな村で、村人は誰もが知り合いで、ケイトの民宿にコーヒーとケーキを求めてやって来る。

夫が亡くなってから3年、4歳になる双子の成長を糧に生きてきたケイトだが、ある朝一人の宿泊客の男性が荷物を残したまま行方不明になったことから、とんでもない事件に巻き込まれる。

暗黒街のボスの会計士だったその男は、ボスの裏帳簿の情報を盗みだしてボスを強請っていたが、腹を立てたボスは始末屋に男と情報を始末するよう命じていた。

ケイトの民宿にたどり着いた始末屋は、情報をケイトが隠していると思い込み、小さな村全体を殲滅したほうが手っ取り早いと考えて、外部との連絡が取れないように村を封鎖して、重武装した部下達を使って村中に弾丸を撃ちだす。

ケイトは彼女と会う度に顔を赤らませる内気な便利屋カルヴィンと共に、この危機に立ち向かうが・・・。


大自然に囲まれ他所から孤立した村を襲うギャング団に、武器を持ち寄った村民たちが一致団結して抵抗するというアクション・サスペンスです。

ケイトからは影の薄い内気な男と見られていたカルヴィンが、実は元海兵隊のものすごく優秀な軍人で、しかも村に居残っていた理由がケイトに心奪われたからという設定がすごいね。

田舎者の集まりだと思われた村人たちが結束して、凶悪だけどどこか間抜けな敵に立ち向かうというのもアメリカ的で、こんなお国柄であれば銃の所有規制など到底ムリでしょうねぇ。

楽しめる作品でしたけど、ラストは少し尻切れトンボのような感じでした。

でも管理人はこういう物語は結構好きです。


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