リンダ・ハワード「ダンカンの花嫁」☆☆
大都会ニューヨークで、義兄ロバートが経営する会社で働く28歳の美しい女性マデリンは、何をやっても卒なくこなす有能な女性だが、過保護な義兄の庇護を受け、仕事らしい仕事もせずに暮らしていることに飽き飽きしていた。
しかしもっとまともな仕事がしたいと言っても、ロバートはまともに相手にしてくれない。
そんなある日、マデリンは親友が持っていた地方紙の花嫁募集広告に目を奪われる。
単刀直入で美辞麗句を連ねていない文章に興味をひかれたマデリンは、広告主に手紙を送り会うことを決める。
その広告を出した34歳バツイチの牧場主リース・ダンカンは、前妻との離婚訴訟に敗れてモンタナ州随一だった大牧場の半分を失い、金銭的に追い詰められながら経営再建に取り組んでいた。
従業員には辞めてもらい、自分一人だけの力で、赤字続きの牧場を何とか黒字が出せるところまで持ってきた。先祖伝来の牧場を自分の代で失うわけにはいかない。跡継ぎも欲しいし、自分を助けてくれる健康で堅実な妻も欲しい。
しかし牧場を手伝ってくれる頑強な女性を期待していたリースの前に現れたのは、都会的なハイセンスな出立で男の心を捕らえてしまう美しい女性マデリン。
まともな結婚生活をしていなかったにもかかわらず財産の半分を奪っていった憎き前妻が、都会的でスラリとした美人だった事から、見た目が同じタイプのマデリンを誤解するリースだったが、マデリンに惹かれる気持ちはどうしようもなく、マデリンもハンサムで逞しいリースに一目惚れしてしまう。
花嫁募集の広告を見て一度も会ったことのない男の元に嫁ぐ・・・、一体いつの話?という感じですが、これは現代(と言っても1990年の作品ですが)の物語です。
女性不信に陥っているカウボーイと、そんな男の心を癒やして共に未来を築きたいと願う美女との恋と、二人のおかしな新婚生活を描いたロマンス小説です。
正直言って、幾ら前妻に騙されたと思っていても、ここまで頑なになるリースの気持ちは理解出来ませんが、そこがロマンス小説らしいといえばらしい気がします。
自立心に富み、ハンサムで逞しく、理想的な男性でありながら、牧場の事とマデリンの事に関しては理性を失ってしまうリース。泣き言を言わずに何でもこなし、常に冷静なスレンダー美人で殆どスーパーガールのマデリン。この組み合わせがなかなか面白いです。
いわゆるハーレクインらしさをとても感じるロマンス小説です。