リンダ・ハワード「夢のなかの騎士」☆☆☆

夢のなかの騎士

フランスで14世紀に書かれた古文書が見つかり、合衆国で最大の古文書研究を行う財団の古文書翻訳者グレース・セントジョンは、依頼された翻訳をするために古文書を持ち帰る。

たまたま使っているパソコンの調子が悪く、近所に住むハッカーの少年クリスに修理を頼もうと家を出たグレースが帰宅すると、怪しい来客者の存在に気がつく。

なんだろうと窓から室内を覗いたグレースの目に写ったのは、勤務先の財団の理事長パリッシュが銃を持ち、グレースの夫フォードと兄ブライアンにグレースの行き先を問い詰めている場面だった。

古文書を持ち出したことを叱責しに来たのかと思ったグレースだったが、だったら返せと言えば良いだけのこと。パリッシュは同じように銃を持つ二人の男とともに、グレースと古文書を探している。

訳が分からず混乱するグレースはパリッシュが夫と兄を殺害する場面を目撃し、その罪をグレースに着せると話している事を聞き、急いで自宅から逃げ出した。

殺人犯として追われながら、クリスの手助けもあって古文書の翻訳を進めたグレースは、テンプル騎士団が隠匿したという財宝の存在を知り、その財宝を守護する騎士団最強の戦士ナイルの存在を知る。

更にグレースの夢の中にナイルが現れた事から、彼女は新しい世界に導かれていくのだが・・・。


ちょっと伝奇小説のような雰囲気があるロマンチック・アドベンチャーです。

始めのうちはあまりに強引な筋立てと、世界征服を企む悪の財団というバカらしい設定が気になりましたが、読み進むうちにスピーディーに展開される物語が面白くなっていきます。

20世紀に生きるグレースと14世紀の騎士ナイルとの時空を超えたロマンスに、テンプル騎士団をめぐる伝説や陰謀話を絡めていて、なかなか楽しめる作品です。


このページの先頭へ