北村薫「冬のオペラ」☆☆
名探偵「巫弓彦」が話を聞くだけで物事の本質を見抜き、事件を解決していくという安楽椅子探偵物のミステリィです。
前半の短編2作で起こる事件は人の生死に関係のないような事件で、「空飛ぶ馬」やアイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」と同系列の作品です。
主人公の姫宮あゆみが北村薫作品らしい前向きな姿勢で生きる女性で、人好きのする明るい一所懸命な性格なところが良いですね。
中編の表題作は、犯人にも動機にも見当が付きますけど、トリックと犯行に及ぶまでの流れが良く出来ていて、成るほどねと思いました。
それにしても、3作品とも信じられないような身勝手な考え方をする人が登場すると思いましたが、昨今ではこういう人が現実にもいるみたいで怖いですね。