ジェイムズ・リーズナー「聞いてないとは言わせない」☆☆☆

聞いてないとは言わせない

短い作品なので一気に読んでしまいます。読んでビックリの犯罪小説でした。

テキサスの片田舎、周囲には延々と続く畑以外は何もない広大な土地。そんな場所にある農場に流れ着いた一人の若者トビー。

美しい熟年女性グレースが一人で切り盛りする農場に雇われたトビーは、住み込みで身を粉にして真面目に働く。

親子ほども歳が違う二人だったが、いつしか互いに惹かれあい、そして結ばれる。

ちょっと昔懐かしいウェスタン小説風の雰囲気が有ったのはここまで・・・。

ここからが驚きの連続です。

えっ!と思っている間に悪党どもが乱入し、怒涛のように銃弾が飛び交い、裏切りが渦巻き、逃亡と追跡と予想外の物語が展開されていきます。

ともかく展開がスピーディーで、銀行強盗やら現金輸送車の強奪事件やらがあって、終盤の意外な結末になだれ込んで行くという、あれよあれよと言う間の波乱万丈の物語。

登場人物はみんな犯罪者なんです。しかし皮肉なユーモアに包まれ、現実的ではない作品の中に引き込まれてしまい、小説と言うよりも映画のような感じのコメディっぽいフィルム・ノワール風の作品で、じっくりと考える余裕もなく本当に一気に読んでしまいました。

ある意味本当にスゴイ作品です。


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