ボストン・テラン「神は銃弾」☆
カルト集団に離婚した元妻とその夫を惨殺され、一人娘をさらわれた警察官ボブは、そのカルト集団からやっとの思いで抜け出した女性ケイスの協力で、カルト集団の居場所を探し出し、娘を救おうとする。
しかしボブは、カルト集団を率いる男サイラスを創りだしたのが、亡き妻の父親とボブの上司の警察署長だということは知らない。
第20回(2001年)の「日本冒険小説協会大賞(海外部門)」の受賞作で、「このミステリーがすごい!」の海外部門1位の作品です。
登場人物がそれぞれに難解なことを話して、単純なミステリィというのとは少し違った印象を受けます。
カルト集団が登場してキチガイじみてはいても、もっと宗教的な雰囲気を漂わせていたり、指導者のサイラスにもっと魅力があれば良いのにと思うけど、人数も少ないしあまり迫力が感じられない。
カルトというよりもジャンキーが幻想を語り、好き勝手なことを仕出かしているだけのように見えて仕方ありません。
それでも主人公はとんでもない危地に陥っても奇跡的に助かるという、冒険小説のパターンをこの作品も持っていて、作品全体に広がる哲学的な雰囲気が微妙に損なわれているような気がします。
正直言って管理人の好みの作品ではありませんけど、ミステリィ・ファンには評価が高いようです。