風流冷飯伝

江戸住まいの幇間・一八は、実は幕府隠密の手先となって働いている男。

その一八が四国の小藩・風見藩に、藩で一番の将棋指しを捜すと言う何やら訳が分からない密命を帯びて潜入する。

そんな一八が出会うのが、どこか人の良い武家の次男坊・飛旗数馬。

一八はこの冷飯食いから、風見藩の変わった風習を教えてもらうが・・・。

貧乏な小藩の家督を継げない冷飯たちを中心にして、風見藩で繰り広げられる珍妙な出来事を、人情落語的な味わいで語るユーモア時代小説です。

人々の可笑しな生き方に加えて結構笑える下ネタが多くて、でも下品な感じが全くせず、江戸前の人情落語を聞くようなテンポのよさがあり、リアリティは全く感じませんが、妙にしゃれた感じのする時代小説です。

こういう雰囲気の時代小説は読んだ覚えがなく、何やら貴重な作風だと思います。