ジュリア・クイン「もう一度だけ円舞曲(ワルツ)を」☆☆

もう一度だけ円舞曲(ワルツ)を

ペンウッド伯爵の庶子として生まれたソフィー・ベケット。母親は彼女の出産時に亡くなり祖母に育てられてきたが、ソフィーが3歳の時に伯爵の屋敷に引き取られ、以来ペンウッド伯爵の被後見人として貴族の教育を受け育てられてきた。

伯爵はソフィーが10歳の時に結婚したが、義母と連れ子の長女は意地が悪く、次女は気立ては悪くないが気が弱い性格で、家族が欲しかったソフィーの期待は見事に裏切られる。

更に数年後伯爵が突然亡くなると、義母はソフィーを無給の使用人として扱うようになる。

家を出ることも出来ずにこき使われる生活を続けて来たソフィーだが、ある時近所の裕福な貴族ブリジャートン子爵家で開かれた仮面舞踏会に、ソフィーに同情した使用人たちの協力で出席する。

時代遅れの祖母のドレスや曾祖母の手袋と義母の靴を身につけ、12時までに帰るようにと言われて出席した仮面舞踏会は、ソフィーには夢のようで、更に舞踏会で出会ったブリジャートン子爵家の次男ベネディクトとはお互いに一目で惹かれ合ってしまう。

しかし名前も告げずに12時の鐘と共に帰宅したソフィーが舞踏会に出席し、花婿候補No.1と言われるベネディクトの目に止まった事を知った義母は、ソフィーを着の身着のままで追いだしてしまう。

一方でベネディクトは生涯を共に暮す女性と出会ったと思い込んで謎の女性を探すのだが・・・。


いきなりのシンデレラ・ストーリーです。

ただ王子様は正体が分からない女性を見つけて結婚してメデタシメデタシとアッサリと終わるわけではありません。

家を追い出されたソフィーは、貴族の教養を持ちながらも、紹介状もない中で下働きの女中として働かざるを得ません。

ベネディクトはソフィーを上流階級のお嬢さんと思い込み探し続けていますが、当然見つかるはずもありません。

そんな二人が再会するのは2年後、ソフィーが雇われている屋敷の不良息子とその仲間に暴行されそうになったところにベネディクトが現れ、彼女を助けてくれます。

しかし2年前に仮面舞踏会で出会った女性と、気の毒な使用人が同一人物だとベネディクトは気が付きません。

しかしソフィーと一緒に過ごすうちに、ベネディクトはソフィーに惹かれていきます。

惹かれてはいてもソフィーを結婚相手とはみなせないベネディクトと、ベネディクトを愛しているものの身分が違うことを自覚して何も語らないソフィー。

さて二人の運命は・・・。

意外と面白いロマンス小説でした。

ベネディクトがちょっとヘタレっぽかった気もしますが、それが却って分かりやすい感じです。


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