本格ミステリ大賞受賞作
本格ミステリ大賞は、本格ミステリ作家クラブが主催する、会員の投票によって年間最優秀作品を決めるミステリィ文学賞です。
本格ミステリ作家クラブの会員数は2013年8月現在で159名ということですが、その会員が候補作全てを読んでから選考理由も示して投票し、多数決で決めるというフェアな印象のミステリィ賞です。
小説部門、評論・研究部門に分かれていますが、以下は小説部門の受賞作です。
第25回(2025年)
逸木裕 : 彼女が探偵でなければ
森田みどりは、高校時代に探偵の真似事をして以来、人の〈本性〉を暴くことに執着して生きてきた。気づけば二児の母となり、探偵社では部下を育てる立場に。時計職人の父を亡くした少年(「時の子」)、千里眼を持つという少年(「縞馬のコード」)、父を殺す計画をノートに綴る少年(「陸橋の向こう側」)。〈子どもたち〉をめぐる謎にのめり込むうちに彼女は、真実に囚われて人を傷つけてきた自らの探偵人生と向き合っていく。謎解きが生んだ犠牲に光は差すのか。痛切で美しい全5編。
(「内容紹介」より)
第24回(2024年)
青崎有吾 : 地雷グリコ- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆☆
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。
(「内容紹介」より)
第23回(2023年)
白井智之 : 名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件
病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。奇蹟を信じる人々に、現実世界のロジックは通用するのか?
(「内容紹介」より)
第22回(2022年)
芦辺拓 : 大鞠家殺人事件
大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場――戦下の昭和18年、婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁ぐことになった陸軍軍人の娘、中久世美禰子。だが夫は軍医として出征することになり、一癖も二癖もある大鞠家の人々のなかに彼女は単身残される。戦局が悪化の一途をたどる中、大鞠家ではある晩“流血の大惨事”が発生する。危機的状況の中、誰が、なぜ、どうやってこのような奇怪な殺人を? 正統派本格推理の歴史に新たな頁を加える傑作長編ミステリ!
(「内容紹介」より)
第22回(2022年)
米澤穂信 : 黒牢城- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。
(「内容紹介」より)
第21回(2021年)
桜田智也 : 蝉かえる
全国各地を旅する昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。彼が解く事件の真相は、いつだって人間の悲しみや愛おしさを秘めていた──。16年前、災害ボランティアの青年が目撃したのは、行方不明の少女の幽霊だったのか? エリ沢が意外な真相を語る表題作など5編を収録。
(「内容紹介」より)
第20回(2020年)
相沢沙呼 : medium 霊媒探偵城塚翡翠
死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理作家・香月史郎。心霊と論理を組み合わせ真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かう。証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのはもはや翡翠の持つ超常の力だけ。だがその魔手は彼女へと迫り――。ミステリランキング5冠、最驚かつ最叫の傑作!
(「内容紹介」より)
第19回(2019年)
伊吹亜門 : 刀と傘
慶応三年、新政府と旧幕府の対立に揺れる幕末の京都で、若き尾張藩士・鹿野師光は一人の男と邂逅する。名は江藤新平――後に初代司法卿となり、近代日本の司法制度の礎を築く人物である。二人の前には、時代の転換点ゆえに起きる事件が次々に待ち受ける。維新志士の怪死、密室状況で発見される刺殺体、処刑直前に毒殺された囚人――動乱の陰で生まれた不可解な謎から、論理の糸は名もなき人々の悲哀を手繰り寄せる。
(「内容紹介」より)
第18回(2018年)
今村昌弘 : 屍人荘の殺人- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆☆
神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態に見舞われ荘内に籠城を余儀なくされるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。たった一時間半で世界は一変した。
(「内容紹介」より)
第17回(2017年)
竹本健治 : 涙香迷宮
明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰! いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。
(「内容紹介」より)
第16回(2016年)
鳥飼否宇 : 死と砂時計
死刑執行前夜、なぜ囚人は密室状態の独房で殺されたのか? どうして囚人は、人目につく満月の夜を選んで脱獄を決行したのか? 墓守が一度埋めた死体を掘り返して解体した理由は――。世界各国から集められた死刑囚を収容する特殊な監獄で次々と現れる不可思議な犯罪。外界から隔絶された世界の謎を、シュルツ老人と助手の青年アランが解き明かす。終末監獄を舞台に奇想と逆説が横溢する渾身の連作長編。
(「内容紹介」より)
第15回(2015年)
麻耶雄嵩 : さよなら神様
「犯人は〇〇だよ」。クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。やつは神様なのだから。神様の残酷なご託宣を覆すべく、久遠小探偵団は事件の操作に乗り出すが・・・・・・。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させ、本格ミステリ大賞に輝いた超話題作。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに!
(「内容紹介」より)
第14回(2014年)
森川智喜 : スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ
第13回(2013年)
大山誠一郎 : 密室蒐集家
第12回(2012年)
皆川博子 : 開かせていただき光栄です
第12回(2012年)
城平京 : 虚構推理 鋼人七瀬
第11回(2011年)
麻耶雄嵩 : 隻眼の少女- 再読度 ☆:読後感 ☆☆☆
神の血を引く少女が悪龍を退治したという伝承がある栖苅村で殺人事件が起きた。容疑者として疑われたのは、実は自殺するために栖苅村にやって来た大学生の種田静馬だった。静馬と同じ宿に泊まっていた、隻眼で水干を身にまとう美少女の探偵御陵みかげは、同じく隻眼で名探偵だった母の跡を継いだばかり。まだ修行中の身だが、事件を見事に解決して母の名を継ぐべく事件の真相を探る。日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞した傑作ミステリィ。
第10回(2010年)
歌野晶午 : 密室殺人ゲーム2.0
第10回(2010年)
三津田信三 : 水魑の如き沈むもの
第9回(2009年)
牧薩次 : 完全恋愛
第二次大戦末期の福島県の温泉地、東京からやってきた少年・本庄究は、同じく戦火を逃れてこの村に暮らしていた画家の娘・小仏朋音に強い恋心を抱く。やがて終戦となり、この地で駐留軍のアメリカ兵が殺されるという事件が起きる。しかし現場からは凶器が忽然と消えてしまう。昭和43年、福島の山村にあるはずのナイフが、時空を超え瞬時にして西表島にいる女性の胸に突き刺さる。昭和62年、東京にいるはずの犯人が福島にも現れる。3つの謎の事件を結ぶのは、画壇の巨匠である男の秘められた恋であった。<他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ。では、他者にその存在さえ知られない恋は完全犯罪と呼ばれるべきか?> 推理作家協会賞受賞の「トリックの名手」T・Mが、あえて別名義で発表した「究極の恋愛小説+本格ミステリ」の大作。2009年度「本格ミステリ大賞」受賞作、2009年「このミステリーがすごい!」第3位、2009年「本格ミステリ・ベスト10」第3位。
(「内容紹介」より)
第8回(2008年)
有栖川有栖 : 女王国の城
第7回(2007年)
道尾秀介 : シャドウ
第6回(2006年)
東野圭吾 : 容疑者Xの献身- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆☆
天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘の美里と暮らす隣人の花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。 ある日、靖子の前夫・富樫が母娘の居場所を突き止めて訪ねてきた。金を無心し、暴力をふるう富樫を、靖子と美里は殺してしまう。 呆然とする二人を救うために、石神は完全犯罪を企てる。 だが皮肉にも、石神と帝都大学の同期であり、親友である物理学者の湯川学がその謎に挑むことになる。 ガリレオシリーズ初の長編。第134回直木賞受賞作。第6回本格ミステリ大賞受賞。2005年度の国内の主要ミステリランキング「本格ミステリ・ベスト10」「このミステリーがすごい! 」「週刊文春ミステリベスト10」すべてにおいて1位獲得、エドガー賞(MWA主催)候補作にもなった。
(「内容紹介」より)
第5回(2005年)
法月綸太郎 : 生首に聞いてみろ
第4回(2004年)
歌野晶午 : 葉桜の季節に君を想うということ- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆☆
「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして——。
(「内容紹介」より)
第3回(2003年)
笠井潔 : オイディプス症候群
第3回(2003年)
乙一 : GOTH リストカット事件
第2回(2002年)
山田正紀 : ミステリ・オペラ
平成元年、東京。編集者の萩原祐介はビルの屋上から投身、しばらく空中を浮遊してから墜落死した。昭和13年、満州。奉納オペラ『魔笛』を撮影すべく“宿命城”へ向かう善知鳥良一ら一団は、行く先々で“探偵小説”もどきの奇怪な殺人事件に遭遇する。そして50年を隔てた時空を祐介の妻・桐子は亡き夫を求めて行き来する……執筆3年、本格推理のあらゆるガジェットを投入した壮大な構想の全体ミステリ。
(「内容紹介」より)