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麻耶雄嵩 「隻眼の少女」の感想です。

麻耶雄嵩「隻眼の少女」☆☆☆

隻眼の少女

両親が相次いで亡くなり一人ぼっちとなった大学生・種田静馬は人生に絶望し、初雪の降る日に自殺しようと考えて、神の血を引く少女が悪龍を退治したという伝承を受け継ぐ寒村・栖苅村を訪れる。

そこで静馬が出会ったのは、水干姿をした隻眼の少女御陵みかげ。

彼女は同じく隻眼だった亡き母の後を継いで探偵となるべく修行中の身で、元刑事の父親と一緒に静馬と同じ温泉宿に宿泊していた。

この栖苅村ではスガル様という伝説の人物の子孫が、難を防ぐとして生き神様のように今でも尊拝されている。

ところがある夜、次期スガル様となるはずだった15歳の少女が、首を切り取られた状態で発見される。

彼女の部屋にあった種田静馬と書かれたメモや、殺害現場に静馬の手帳が落ちていたことから、静馬が不審な人物として容疑者にされてしまう。

静馬の容疑を晴らすため、名探偵の名をかけて御陵みかげが立ち上がる。


二部構成のトリック・ミステリィ。第一部は村で発生した連続殺人事件の物語、二部は18年後にまた起きた殺人事件の謎解きになります。

ツンデレっぽい少女探偵みかげと、助手に指名された間抜けなワトソン役静馬のボーイ・ミーツ・ガール風なユーモラスな探偵もののように始まる物語ですが、話が展開していくうちに、その様相が変化していきます。

二部のラストで明らかになる意外な真相・・・これは賛否両論というところでしょう。

綿密なロジックで真面目に構築されたミステリィというのとは少し違う気がしますし、動機にも情況にもムリが多すぎて、探偵小説としてはアリかもしれないけど推理小説としては微妙な感じです。

深く考えずに、流れに任せて本を読む管理人には、それなりに楽しめましたけど、でもミステリィの賞を取るような作品かと問われれば、まぁ管理人だったら選ばないな。面白かったけど。