スーザン・エリザベス・フィリップス「湖に映る影」☆☆☆
名門アメフト・チーム「シカゴ・スターズ」オーナーの妹で、幼い頃から模範的な良い子として生きてきた童話作家のモリーには、普段の生真面目な生活に対するフラストレーションからか、数年毎にとんでもない愚行をするクセがあった。
自分でも制御できずに突然髪型を奇抜なスタイルに変えたり、おかしな事を考え出したりしている自分に気が付いたモリーは、落ち着いて一人で著作に取り組もうと姉夫婦の別荘に出かけるが、そこにはモリーが密かな恋心を抱いているチームのスター選手ケヴィンがチーム・コーチの義兄ダンに謹慎を命じられて泊まりに来ていた。
ベッドで眠るセクシーな男ケヴィンを見て突然頭の回路が切れてしまったモリーは、自らケヴィンにのしかかり一夜限りの過ちを犯し、なんと妊娠してしまう。
誰にも知られずに出産するつもりが姉夫婦に知られてしまい、妊娠を知って怒り狂ったケヴィンと仮の結婚をさせられるが、結婚直後に流産してしまい、子供が欲しかったモリーは落ち込んで、何をする気にもなれずにただボーっとしている引きこもり状態になってしまった。
そんなモリーの前に偽りの夫ケヴィンが現れ、ケヴィンが相続した湖畔のキャンプ場にモリーを無理やり連れて行く。
拉致されたようにイヤイヤ連れて行かれたキャンプ場だったが、そこはモリーが描く童話の世界のような心やすまる世界だった・・・。
アメリカン・フットボールの選手・関係者を主人公にした「シカゴ・スターズ」シリーズの5作目です。
今回の作品の主人公はシリーズ3作目の「あなたがいたから」で主人公キャル・ボナーに憧れているフットボール・プレイヤーとして登場したケヴィン、ヒロインのモリーはシリーズ1作目の「あなただけ見つめて」の主人公フィービーの妹です。
妊娠が理由で望まぬ結婚を強いられるというのは「あなたがいたから」と同じパターンになります。
思いもよらぬ形で結婚せざるを得なくなったものの、実際には相性の良い二人が自然の中でリラックスして自分を見つめ直し、真実の愛に目覚めるというどこかで読んだことのあるような話でした。
ロマンス小説らしい先が読める展開ですけど、予定調和の安定感のある作品は読んでいて安心です。
「シカゴ・スターズ」シリーズ。