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スーザン・エリザベス・フィリップス 「ロマンティック・ヘヴン」の感想です。

スーザン・エリザベス・フィリップス「ロマンティック・ヘヴン」☆☆☆

ロマンティック・ヘヴン

アメリカン・フットボールの選手や関係者の恋愛騒動を描いた「シカゴ・スターズ」シリーズの2作目の作品です。


前作「あなただけ見つめて」ではプレイヤーとして全盛期を迎えていたスター選手ボビー・トム・デントンも、ついにNFL引退を決意する時が来た。

NFL随一のハンサムな男ボビー・トムは、フットボールの世界から映画の世界へと転身する事を決めるが、初主演作品の撮影現場である生まれ故郷テキサス州ヘブンになかなか姿を現さない。

業を煮やした映画配給会社の女性社長は、雇い入れたばかりのアシスタント女性グレイシー・スノーに、撮影が始まる日までに必ずボビー・トムを連れてくるように命じる。

お目付け役としてボビー・トムの前に現れたグレイシーだったが、億万長者でハンサムで名うてのプレイボーイのボビー・トムは撮影現場にはクルマで行くと言って譲らず、グレイシーの心配をよそに寄り道を繰り返し、結局グレイシーは期日までにボビー・トムを現場に連れて行くことが出来なかった。

社長は任務をこなせなかったグレイシーに解雇を言い渡し、共同経営をしていた老人ホームを人に譲って背水の陣で取り組んだはずの新しい仕事が思い通りに行かなかったグレイシーは、自分は何をやってもダメな人間だと思いながら一人撮影現場を離れていく。

しかし自分の我儘でグレイシーが解雇された事を知ったボビー・トムは、グレイシーの経費を自分が負担するという条件で彼女を専属アシスタントとするように配給会社社長に要求し、グレイシーには事情を知らせずに解雇を撤回させる。

そうした中でいよいよ映画撮影が始まるが、撮影現場がボビー・トムの故郷という事もあって昔からの知り合いのグラマー美人たちが彼の廻りに集まり、ボビー・トムの妻の座を射止めようと躍起になる。

そんな毎日にうんざりしたボビー・トムは、突然深い考えもなくグレイシーが実は彼の婚約者だと公言してしまう。

突然婚約者扱いされたグレイシーは困惑するが、しかし誰に対しても別け隔てなく接する心優しいボビー・トムを愛している事に気がついていた。


とびきりハンサムで大金持ちのスポーツマンで、人当たりの良い人気者の独身男ボビー・トムと、容姿は冴えないけど頭の回転が早くて、好奇心旺盛でユーモア・センスのあふれたグレイシーの恋を洒落た会話とともに描いたロマンス小説です。

それに加えて愛する夫と死別したボビー・トムの母親と、若かりし頃は町中の鼻つまみ者だった億万長者の男性との新しい恋も描き興味深い作品です。

人に頼まれるとイヤと言えない性格のボビー・トム。誰もがボビー・トムに頼みごとをして、本人は自覚していないけど、みんなの期待に答えなくてはいけない事がプレッシャーになっている。

その事実に気づいたグレイシーは、自分だけは愛するボビー・トムから何も受け取らずに与えるだけの存在になろうとしますが、この健気な姿勢は残念ながらボビー・トムには通じていません。

グレイシーを知るにつけ彼女に惹きつけられていくボビー・トムと、ボビー・トムには何も要求したくないグレイシー。二人のロマンスはどんな風に実るのか。

ある意味頑固なグレイシーに対して、案外と地道な性格のボビー・トムが良い味を出していて楽しめました。

「シカゴ・スターズ」シリーズ。

  1. あなただけ見つめて
  2. 「ロマンティック・ヘヴン<」(本書)
  3. あなたがいたから
  4. あの夢の果てに」
  5. 湖に映る影」
  6. まだ見ぬ恋人
  7. いつか見た夢を