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スーザン・エリザベス・フィリップス 「いつか見た夢を」の感想です。

スーザン・エリザベス・フィリップス「いつか見た夢を」☆☆☆

いつか見た夢を

アメフト・チームの関係者を主人公にしたロマンチック・シリーズ「シカゴ・スターズ」シリーズのの7作目で、今回は「まだ見ぬ恋人」で登場したアメフト界の若きスーパースターのディーン・ロビラードの5年後の物語になります。


アメフト・リーグ屈指のクォーターバックとして、長い間スランプも故障も知らずにプレーしてきたスター選手ディーン・ロビラードは、肩の故障で不本意なシーズンに終わった今季を忘れようと思い、買ったばかりの農場までスポーツカーで遠出する事を決める。

その道すがら見かけたのは、濡れたビーバーの着ぐるみを着てとぼとぼと歩く若い女性ブルー。

これは何だか面白そうだと「何か助けになることは?」とディーンが聞いたところ、返ってきた返事は「銃を持っている?」。

元カレに振られてた上、大切な物まで勝手に処分されたブルーは怒りまくっている。

面白がってそんな彼女についていったディーンは、ひょんな成り行きから一文無しになったブルーを自分の農場に連れていくことになってしまうが、ディーンが買った農場内の古びた農家はまだ改装中で、その作業を指示しているのはディーンとは疎遠の母エイプリルだった。

エイプリルはまだ幼かったディーンを捨てて家を出た過去から、ディーンに憎まれている事を知っているが、せめてもの罪滅ぼしとばかりに正体を隠してディーンの為に家の改装をしていた。

ディーンが来る前に仕上げて出ていくつもりでいたのに、完成前にディーンが来た事にうろたえるエイプリル。

母に冷たい態度をとるディーンと、息子を切なげに見つめながらも感情を隠して仕事をやり遂げようとするエイプリル、そして緊張感の漂う二人に挟まれながら自然体でいるブルーに救われるように親子は会話を始める。

そんなところに、ディーンに憧れる腹違いの妹ライリーが家出して農場にやってきて、彼女を追ってディーンとライリーの父親で伝説のミュージシャンのジャック・パトリオットまでがディーンの農場に現れて、複雑な家族がいつの間にか一緒に暮らし始めるのだが・・・。


孤独な少女だったライリーが家族を得て生き生きとするようになり、エイプリルとディーンの和解があり、エイプリルとジャックの焼けぼっくいに火がついた関係など、何やら家族再生の物語を描きながら、根無し草のような生活をしてきた画家ブルーと、アメフト界のスター選手ディーンのユーモアいっぱいのラブロマンスが繰り広げられます。

面白いですね、この作品。

会話がユーモラスでシャレていて、ロマンス小説だけど心が暖かくなるような明るい雰囲気があって、物語に多少のアラがあっても気にならない楽しい作品です。

「シカゴ・スターズ」シリーズ。

  1. あなただけ見つめて
  2. ロマンティック・ヘヴン
  3. あなたがいたから
  4. あの夢の果てに」
  5. 「湖に映る影」 
  6. まだ見ぬ恋人
  7. 「いつか見た夢を」(本書)