池井戸潤「ルーズヴェルト・ゲーム」☆☆

ルーズヴェルト・ゲーム

中堅のエレクトロニクス・メーカー青島製作所は不況による業績不振にあえいでいた。

創業者からその経営手腕を買われて中途入社し、社長に抜擢された元コンサルタントの細川は、リストラにより状況を打開したいと考えているが、社員を家族同然とみなして経営してきた創業者への遠慮もあって、なかなか実行には踏み切れない。

一方、青島製作所野球部はかつては都市対抗野球にも出場した名門だったが、ここ数年は予算も不足して低迷を続け、名監督と言われた前監督の村野は主力選手を引き連れて、ライバル社ミツワ電気の野球部監督に就任してしまった。

会社の業績は低迷し、リストラの噂は聞こえ、残された選手たちにも諦めの気持ちが強いが、そうした中で野球部長の三上は、高校野球の元監督で社会人野球の経験がない大道雅臣を監督として招聘した。


ライバル企業からのM&A申し入れ、社内での確執、崖っぷちの野球部、曰くのある元高校球児だった契約社員の入部などなどを交えて、「空飛ぶタイヤ」や「下町ロケット」と同様に、社員を信じ信念を持って困難にぶつかる中小企業経営者の奮闘と企業再生のドラマが展開されます。

池井戸潤らしい勧善懲悪で、胸のすく結末などが実に爽快な物語です。


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