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ローラ・リー・ガーク「愛の誘惑は太陽の色」の感想です。

ローラ・リー・ガーク「愛の誘惑は太陽の色」☆☆☆

愛の誘惑は太陽の色

イタリア・ポリゲリ王国皇太子チェザレの庶子ルチア・ヴァレンティは高級娼婦を母に持つ奔放な娘だったが、父親に娘として認知されてからは宮殿に住まわされて、窮屈な日々をおくっていた。

そんなルチアが腹違いの妹と祭り見物に宮殿を抜けだしスキャンダルになると、チェザレはルチアを急遽英国に送り、英国貴族に嫁がせることを決める。

その結婚の取りまとめを依頼されたのは英国の優秀な外交官イアン・ムーアで、彼はトルコとギリシャの間で発生しているトラブル解決のため現地に赴いていたが、訳も知らされずにロンドンに呼び戻され、その理由がつまらない婚姻のお膳立てという事に立腹する。

しかも用意された期限はたったの6週間で、その短い期間内に高級娼婦として名高い女性を母に持つ娘を貴族に嫁がせなくてはならない。しかも夫の条件は裕福な貴族でカトリック教徒だということ。

仕方なくルチアの元を訪れたイアンは、美しく頑固で何もかも自分の思う通りにしたいルチアに出会って困惑するが、愛のある結婚を望むルチアも、夫選びを強要する冷たい表情のイアンに強く反発していた。

しかしお互いを知るにつけ、二人はいつしか惹かれ合っていくのだが・・・。


庶子とは言ってもルチアはお姫様で、一方イアンは裕福な家系でサーの称号を受けてはいるものの生粋の貴族ではなく、チェザレの示した条件には合致しない。

ルチアを強く求めながらも、生真面目なイアンは彼女を他の男に嫁がせなくてはならないと一人悩み抜きます。

ルチアも一見生真面目に見えながら内に秘めたる情熱を持つイアンに愛を感じながら、彼が自分のことを愛していないと考えて落ち込んでいる。

そんな二人の愛の物語が、なかなか上手に描かれています。

この作家は物語の運び方が上手ですね。

ヒストリカル・ロマンスはどうしても似た様な印象になりがちですけど、この作品は面白かったです。

ギルティ・シリーズ4部作の第4作目の作品を最初に読んでしまいましたが、他の作品も読みたくなりました。


ギルティ・シリーズ。
愛のかけらは菫色
愛の調べは翡翠色
愛の眠りは琥珀色
「愛の誘惑は太陽の色」(本書)