ローラ・リー・ガーク「愛のかけらは菫色」☆☆
高名な考古学者の父と彼と駆け落ち結婚した男爵家の娘を母に持つダフネ・ウエイドは、両親亡き後トレモア公爵アントニー・コートランドに彼の領地内で発掘される遺跡の修復師として雇われていた。
アントニーを一目見た時から彼に憧れたダフネは、休み時間も返上して彼のために修復作業にとりかかり、初めは女性を修復師として雇うつもりのなかったアントニーに最高の人材だと思われるようになり、それを励みに日々暮らしていた。
しかしアントニーの元を訪れてきた彼の妹ヴァイオラがダフネの後見人となり、ダフネの縁談の世話をするつもりだと話したとき、アントニーはダフネの事を「ナナフシのような体つきで背景のような女性」だと評してしまう。
それを扉の影で聞いてしまったダフネは、アントニーに恋い焦がれる自分の思いの馬鹿らしさに気がつき、アントニーに仕事を辞めると告げた。
ダフネがいなくなったら発掘作業と博物館を開館する予定が全て狂ってしまう。
アントニーは何としてでもダフネを翻意させようと説得するが、ダフネには説得に応じる様子はない。
何か良い手はないものかとダフネを観察しているうちに、単なる使用人としか考えていなかったダフネの中に魅力的な女性の姿が見え始めアントニーは戸惑う。
ギルティ・シリーズ4部作の最初の作品になります。
このシリーズは4作目から読み初めて、1作目の本作を最後に読みましたが、とくに問題はありませんでした。(まぁ同じ人物が登場するので、1作目から読んだ方が良いとは思いますが)
翻訳者のあとがきにもありましたけど、ヒストリカルには珍しく主人公は職業婦人(キャリア・ウーマンというよりもこっちの雰囲気)です。
ただそういう事を意識するのは前半まででした。
途中からはややありきたりのロマンス小説の雰囲気になります。
この作家は、どこがと言えないけど構成が上手で、ついつい先が読みたくなるような作品に仕上げますね。
中弛みもなく一気に読めるロマンス小説で、面白かったです。
ギルティ・シリーズは、
「愛のかけらは菫色」(本書)
「愛の調べは翡翠色」
「愛の眠りは琥珀色」
「愛の誘惑は太陽の色」
と続きますけど、管理人は3作目が一番好きかな。