池井戸潤「オレたちバブル入行組」☆☆☆

オレたちバブル入行組

東京中央銀行大阪西支店の融資課長半沢直樹はバブル期に入行した銀行マン。

支店長の浅野が強引に進める5億円もの新規の無担保融資を無理やり担当させられるが、数ヵ月後に融資先企業が不渡りを出して倒産、社長の東田は雲隠れする。

支店長浅野は責任を全て半沢に押し付け、半沢は東田の居場所を探しに奔走するのだが・・・。


作者お得意の大手都市銀行を舞台にした企業ミステリィ小説です。

タイトルをみるとお気楽なバブル期入行社員の奇行を書いた作品かと思いますけど、実際は主人公を落としいれようとする陰謀に立ち向かう銀行員の活躍を描いて、最後は勧善懲悪の胸をすく結末があって、これはいつもの池井戸節のビジネス小説です。

又、バブル期に入行した同期が集まって色々と話し合う場面が出てきますので、バブル世代の物語という側面もあり、採用人数が多かった世代の悲哀も描かれています。

しかし池井戸作品に限らず、この手の企業小説に共通している問題点ですが、皆こんなに異常に忙しいのでしょうかね。

確かに忙しい時期というのは、どの会社どの職場にもあるけれども、年がら年中日付が変わるまで働き尽くめというのでは過労死してしまいますよ。

ここまで来ると日本は大丈夫かと心配になります。


追記:

いつの間にか「オレたち花のバブル組」とこの作品がTBSの日曜劇場で「半沢直樹」としてドラマ化され、視聴率30%を稼ぐ今年(2013年)一番の話題作になっています。

池井戸潤ファンの管理人としてはもちろん嬉しいですけど、ドラマは原作の雰囲気と少し違っているようでやや複雑な気分もあります。

2作の続編となる「ロスジェネの逆襲」や「銀翼のイカロス」も面白いですよ。


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