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ロイス・マクマスター・ビジョルド 「魔術師ペンリック」の感想です。

ロイス・マクマスター・ビジョルド「魔術師ペンリック」☆☆☆

魔術師ペンリック

天気の良い春のある日、貧しい地方貴族の末子ペンリック・キン・ジュラルドは、兄が決めた裕福な商家の娘との婚約式に出席するためグリーンウェルの町に出向いた。

しかしその途中で、心臓の病で倒れている年輩の女性神官ルチアの一行に出会い、最期を迎えようとしているルチアを励まそうと「わたしでお役に立つことがあれば何なりとお申し付けください」と語ったところ、ルチアからは「申し出を受けましょう」との返答が・・・。

そしてルチアの目から生気が失われると、すさまじい衝撃とともにペンリックは気を失った。

ルチアは庶子神の魔を内に棲まわせた神殿魔術師だった。

偶然の出会いによってルチアから年古りた魔を移されてしまったペンリックは、婚約も破棄となり、ルチアが向かう予定だった都市マーテンズブリッジの庶子神教団を訪れることになるのだが・・・。


5柱の神々が住まう世界を舞台にした「五神教シリーズ」の第4作目となる中編集で、「ペンリックと魔」「ペンリックと巫師」「ペンリックと狐」の3篇を収録しています。

世界観が同じというだけで、前作までとは時代も場所も違っていますので、新しいシリーズ作品という気がします。

「ペンリックと魔」はペンリック・シリーズとも言えるこの作品の導入部で、地方貴族の末っ子で19歳の若者ペンリックが、年老いた神殿魔術師から魔を引き継いでしまい、人生があらぬ方向に向かう様子を描いています。

ペンリックがデズデモーナと名付けた魔は10人の女性魔術師と馬とライオンから成る魔で、人の良い好青年ペンリックが魔と折り合いをつけていき、世間がペンリックを認めていく物語になっています。

「ペンリックと巫師」「ペンリックと狐」は、若き神殿魔術師となったペンリックが、魔術師として事件を解決していく物語で、トラブルに巻き込まれても淡々としていて、あまりギスギスしない感じが心地よいですね。

やっぱり、この「五神教シリーズ」は面白いや。

五神教(チャリオン)シリーズ

  1. チャリオンの影
  2. 「影の棲む城」(本書)
  3. 影の王国
  4. 魔術師ペンリック
  5. 「魔術師ペンリックの使命」