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アマンダ・クイック「運命のオーラに包まれて」の感想です。

アマンダ・クイック「運命のオーラに包まれて」☆☆

運命のオーラに包まれて

19世紀のイギリス、地方の古城にある年代物の遺物の写真撮影を請け負った女性写真家のヴェネシアは、仕事の依頼主であるアーケイン・ソサエティ会員のゲイブリエル・ジョーンズを誘惑しようとしていた。

若くして両親を亡くしたヴェネシアは、まだ幼い弟や妹、更には彼女たちの精神的な支えとなってくれた叔母を養うために、自分は生涯独身を通して写真家として生きていくつもりでいたが、一度くらいは情熱的な夜を過ごしたい。

人里離れた土地での人知れぬ情事ならばスキャンダルは避けられるし、自分の写真家としての経歴にも傷がつかず、これからの仕事で大切になる社交界への出入りにも問題は起こらないだろうし、ヴェネシアには今こそが女性の願いを叶えるチャンスに思える。

早速ゲイブリエルを誘惑して自分の思うように運んだヴェネシアだったが、何と古城に侵入者が現れた事で、甘い時間を過ごす間もなくヴェネシアは急遽ロンドンに送り返されてしまう。

しばらくして、ゲイブリエルが死んだという新聞記事を読んだヴェネシアは強いショックを受けるが、亡くなったゲイブリエルの妻ミセス・ジョーンズを名乗って、未亡人の写真家として大きな成功を収める。

そんなある日、ヴェネシアの元に死んだはずのゲイブリエルが現れて・・・。


超能力者の秘密組織アーケイン・ソサエティを舞台にしたサスペンス・シリーズです。

現代を舞台にしたこのシリーズはジェイン・アン・クレンツ名義で書かれていますが、この作品は19世紀イギリスを舞台にしたヒストリカル・ロマンスですので、アマンダ・クイック名義になっています。

アーケイン・ソサエティ創設者の生み出した'秘薬'の製法を巡って、そのレシピが書かれた手帳を盗み出した犯人と、犯人を追うゲイブリエル・ジョーンズ、ゲイブリエルの未亡人と偽ったことにより事件に巻き込まれてしまうヴェネシアとその家族の騒動が楽しい作品でした。

女性が自分の力で生きていくことが未だ難しかった時代ならではの話です。

人には打ち明けられない超能力を持つ主人公ふたりがお互いに惹かれていくという、このシリーズお得意のパターンです。


「アーケイン・ソサエティ」シリーズ(ヒストリカル)。

「運命のオーラに包まれて」(本書)
オーロラ・ストーンに誘われて
禁じられた秘薬を求めて
虹色のランプの伝説