ペットトリマーの若い女性が、マンションの自室で何者かに殺害されるという事件が発生した。

「女性の死体があるかも知れない」という情報が匿名通報ダイヤルに寄せられた事が事件発覚の発端で、匿名通報ダイヤルから連絡を受けた所轄警察署の捜査により女性の死体が発見され、遺体解剖の結果他殺の疑いが濃厚となり、捜査本部が開設された。

そして数日後、警視庁にその事件の犯人がホテル・コルテシア東京のカウントダウンパーティ会場に姿を現すという匿名の密告状が届く。

警察はカウントダウンパーティが行われるまでの間コルテシア東京に捜査官を配置することを決め、以前コルテシア東京を舞台にした事件でフロント係に扮装した刑事・新田浩介が、再びフロント係としてコルテシア東京に派遣されることになる。

「マスカレード・ホテル」「マスカレード・イブ」に続くマスカレードシリーズ第3弾のミステリィです。

マスカレード・イブで新田浩介の相棒のような役目を果たした敏腕ホテルウーマン山岸尚美はフロント係からホテルのコンシェルジェに変わっていますが、今作でもゲストから頼まれたらけっしてノーとは言わないのがコンシェルジェだとして、スーパーな手腕を発揮しています。

ホテルのゲストは皆「客」という仮面をかぶっているという中で、いかにしてホテルを訪れる大勢の人達の中から犯人を見つけ出すのかという主題と、客からの無理難題を見事にさばいていく尚美の姿が描かれています。

クライマックスのカウントダウンパーティが仮面パーティーという趣向なのが、このマスカレードシリーズのテーマに合っていますが、しかしそれを生かしきれていなかった様な印象を受けました。

東野圭吾らしいそつのなさで楽しめるミステリィでしたが、二転三転するような驚きの展開はなく、管理人には今ひとつ物足りなかったですね。