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東野圭吾「マスカレード・ホテル」の感想です。

東野圭吾「マスカレード・ホテル」☆☆☆

マスカレード・ホテル

東京都内の一流ホテル・コルテシア東京に、警察からホテルマンに扮装した刑事を潜入させて欲しいとの依頼が入った。

都内で発生した奇妙な連続殺人事件の犯人が残した暗号から、次の犯行がコルテシア東京で実行される可能性が高いと言うのだ。

3件の殺人事件は被害者も犯行の手口も共通点がなく、奇妙な暗号が現場に残されていなければ、連続殺人事件とは考えられないような事件だったが、解読された暗号は次回の殺人を予告する内容となっていた。

犯人が誰をターゲットにしてどんな風に殺人を犯すのかは分からないけれども、3件目の殺人現場に残された暗号から、次の事件の大まかな日付と殺人がコルテシア東京で行われるという事は判明しているらしい。

コルテシア東京のフロント係の女性・山岸尚美は、フロント係に扮する刑事・新田浩介をホテルマンらしく見えるように指導しサポートするよう上司から指示を受ける。

鋭い視線で宿泊客を見つめ、横柄な態度を取る新田に反感を抱きながらも、尚美はホテルマンとしての心構えを新田に教えながら行動を共にする。

果たして事件は本当にコルテシア東京で起るのか?犯人の目的は何か?新田に協力するうちに、否応なく事件に巻き込まれていく尚美だったが・・・。


舞台の殆どがホテル内の描写となっている面白い設定のミステリィで、初めはお互いに微妙な反感を抱いている刑事とホテルウーマンが、行動をともにしているうちにお互いを認め合い、協力していくという物語です。

本筋に関係ないような、ホテル内の出来事やトラブルを描いた場面が多くて、ミステリィっぽくないような印象を受けましたが、実はそれが大切な伏線になっていたりして、あり得ない話ではありますけど、読み始めると止められない小説でした。

よくこんな物語を思いつくなと、改めて作者の力量を再認識しました。とても面白かったですね。