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東野圭吾「マスカレード・イブ」の感想です。

東野圭吾「マスカレード・イブ」☆☆

マスカレード・イブ

「それぞれの仮面」「ルーキー登場」「仮面と覆面」「マスカレード・イブ」の4編を収録したミステリィの短編集で、ホテルウーマンの山岸尚美と警視庁捜査一課の刑事・新田浩介が活躍する「マスカレード・ホテル」の前日譚となる「マスカレード」シリーズの第2作目です。


「それぞれの仮面」は、ホテル・コルテシア東京のフロント担当になって間もない山岸尚美が、宿泊客となったかつての恋人の頼みで、部屋からいなくなった女性の行方を探すという話。あまり深刻な話ではないけど、お客様の仮面を剥がさないようにするというホテンルマンとしての心構えと、真実を追求したいという欲求の折り合いの付け方がまずまずですか。

「ルーキー登場」は、捜査一課に配属したばかりの新米刑事の新田浩介が、ランニング中に刺殺された男性の事件を追う物語。やや苦い結末ですね。

「仮面と覆面」は、ホテルに缶詰になって原稿を書く美貌の人気小説家を追いかけるオタクっぽいファン達に対応する山岸尚美を描いた物語で、こちらもそう大した事件にはなりません。

「マスカレード・イブ」は、研究室で大学教授が殺害された事件を捜査する新田浩介と、容疑者とされる准教授のアリバイに関係している山岸尚美の話で、二人が直接出会うこともお互いを意識することもありませんけど、事件の解決に関係していたという話で、お終いの方には「マスカレード・ホテル」につながるエピソードも描かれています。


「マスカレード・ホテル」で出会って、初めはお互いに反発する二人の前日譚ということで、どんな小説かと思いましたが、意外と要領よくまとまっていて面白い作品でした。