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ジェニファー・セント・ジャイルズ「海を渡る呼び声の秘密」の感想です。

ジェニファー・セント・ジャイルズ「海を渡る呼び声の秘密」☆☆

海を渡る呼び声の秘密

「禁じられた城の秘密」「竜ひそむ入り江の秘密」に続く不思議な能力を持つ姉妹を主人公にしたロマンチック・サスペンス「キルダレン」3部作の完結編になります。

本作のヒロインはアンドリュース3姉妹の下の妹で、誰からも可愛いけど流行の服にしか興味がない少し考えの足りない娘だと思われてきたジェミナイ。

ところが実はジェミナイには幼い頃から幽霊を見る力が有り、その事を周囲の人に知られないようにするため、あえて情緒不安定で何も考えないバカな娘を装って生きてきた。

しかし海辺の町ダートムアズ・エンドの謎に包まれた過去の出来事の真実が明らかになり、ふたりの姉がそれぞれ自分の幸せを見つけた事を見て、ジェミナイもまた自分の生きる道を探す事を決める。

まずは海の向こうの町ノースロープで起こった、ダートムアズ・エンドの事件とよく似た婦女連続殺人事件を調べようと、ノースロープに向かう船に密航を企てる。

実はその密航した船の船長デヴラルこそ、ジェミナイが密かに想いを寄せる男性だった。


19歳も年が離れたヒーロー・ヒロインのロマンス、幽霊と会話が出来る女性、デヴラル船長の肩に張り付いている剽軽な幽霊たち、そういう設定がどことなくユーモラスな雰囲気を醸し出していて、最初はゴシック・ロマンの色が濃かったこの3部作は巻を追う毎に軽くなっていくようです。

作品の内容もどっしりと落ち着いたところがなくて、読みやすい普通のヒストリカル・ロマンスになっています。

どこか前2作のおまけっぽい感じがする作品でした。

「キルダレン」シリーズ。
禁じられた城の秘密
竜ひそむ入り江の秘密
「海を渡る呼び声の秘密」(本書)