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ジェニファー・セント・ジャイルズ「竜ひそむ入り江の秘密」の感想です。

ジェニファー・セント・ジャイルズ「竜ひそむ入り江の秘密」☆☆☆

竜ひそむ入り江の秘密

キルダレン城主ショーンと結婚した予知夢を見る女性キャシーのすぐ下の妹アンドロメダも、姉と同様に不思議な力があった。その能力とは、彼女が人と直に接触すると、その人が考えている事が映像になって見えてしまうというもの。

この呪われた力を持つせいで他人とは普通に付き合えないと考えていたアンドロメダだが、義兄ショーンとその双子の兄アレクサンダーが不仲であることを知ると、愛する姉の家庭を平穏にする為義兄たちの仲を取り持ちたいと考えて、古美術整理を口実にアレクサンダーの居城に通う事にする。

自分の呪われた力を持て余すアンドロメダと、若かりし頃にショーンを傷つけた事を悔い隠棲生活を送っているアレクサンダーは、出会った時からお互いの事が気にかかっていたが、それぞれが自分は結婚の出来ない身と思い込んでいて素直な気持ちが出せない。

そうしている内に、キャシーの従姉妹メアリーの殺害事件とショーンとアレクサンダーの不和の原因となったかつての殺人事件との関連性が分かってきて物語は佳境に入る。


「禁じられた城の秘密」に続く、不思議な能力を持つ3姉妹を主人公にした「キルダレン」シリーズの第2作目の作品です。

この作品で前作までの事件の謎が明らかになり完結しますが、そういう点では前作から読まないと釈然としない構成になっています。

また正直言えば、全体的に前作の方が小説としての出来栄えが良かったように思います。

前作「禁じられた城の秘密」はゴシックロマンの雰囲気が漂っていて、どことなく重厚感がありましたが、この作品はどこにでもある普通のヒストリカル・ロマンスになっています。

まぁ、この次のシリーズ3作目は更に違った印象の作品ですけど・・・。

「キルダレン」シリーズ。
禁じられた城の秘密
「竜ひそむ入り江の秘密」(本書)
海を渡る呼び声の秘密