ジェイン・アン・クレンツ「消せない想い」☆☆☆
黒いコートが良く似合う長身でクールで皮肉屋の女性レインには 物体に触れるだけでそれに憑依した人間の悪意が「声」として聞こえるという超能力があった。
そうした悪意に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす事も多い。
亡くなった叔母にも同じ能力があり、そのため叔母は世間から狂人と言われ続けてきた。
その叔母から相続した家を売却しようと不動産屋と一緒に訪れたレインは、家の地下で連続殺人犯の「声」を聞いてしまう。
殺人事件に巻き込まれたレインの前に現れたのは、秘薬の研究中に死んだ父親の死に関係しているとレインが思い込み毛嫌いしている組織アーケイン・ソサエティの調査員ザックだった。
物に憑いた人間の悪意を聞き取れるレインと同様に、ザックもまた同じような超能力の持ち主。お互いに共感した二人はいつしか惹かれ合い、共にアーケイン・ソサエティと対立する超能力者の秘密組織「夜陰」と謎の連続殺人犯を追うことになるが・・・。
「許される嘘」に続く、超能力者の秘密組織アーケイン・ソサエティと超能力を悪用して権力を握ろうと暗躍する組織「夜陰」との暗闘を描いたロマンチック・サスペンスです。
悪意が聞こえて眠れぬ夜を過ごす孤独な女性クレアと、彼女の孤独を理解し惹かれていくザックの物語。
明るく前向きな女性を主人公にする事が多いクレンツにしては、皮肉屋でクールなヒロイン・クレアは少し違った雰囲気ですが、それでもどこか人の良さとユーモアがあって素敵な主人公だと思います。
サクサクと読めて面白い小説でした。
「アーケイン・ソサエティ」シリーズ。(コンテンポラリー)
「許される嘘」
「消せない想い」(本書)
「楽園に響くソプラノ」
「夢を焦がす炎」
「霧に包まれた街」