池井戸潤「不祥事」☆☆☆

不祥事

大手都市銀行の東京第一銀行の事務管理部は、支店の事務処理などに問題が有った時に、現場に出向いて臨店指導を行う部署。

その事務管理部に人事異動した女性行員の花咲舞は正義感が強く、上司の相馬調査役から狂咲と呼ばれるほど思い込んだらまっすぐに突き進む女性だった。

上役にはてんで弱い上司・相馬が狼狽える事など歯牙にもかけず、花咲舞は行内の不正や納得の出来ない慣習に挑む。


ちょっと水戸黄門的な小気味の良さがある、大手銀行を舞台にした連作短編集です。

自分の出世を第一に考えるやり手だが身勝手な役員が登場し、そうした上役の言うがままに従う上司・相馬の姿は、これはこれで典型的なサラリーマンという感じです。

効率に追われる銀行マンの悲哀を滲ませながらも、ユーモアたっぷりで後味スッキリの面白いビジネス小説です。

色気は有りませんけどね。

「花咲舞が黙ってない」というタイトルでTVドラマ化されてヒットしましたが、原作も面白い作品です。


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