池井戸潤「株価暴落」☆☆☆
ダイエーを想起させるような大規模スーパー「一風堂」で爆発事件が発生し、多くの犠牲者が出た。
「一風堂」は極度の経営不振に陥り、銀行の債権放棄と大規模なリストラで経営を再建させている途中だったが、今でもワンマン経営者の実質的な支配が継続されていて、改革は進んでいなかった。
「一風堂」に爆弾を仕掛けたとする犯人からの犯行声明では、「一風堂」が廃業しない限り第2第3の事件を起こすと予告されている。
そして予告通りの爆破事件が発生した。
果たして犯人の狙いは何か?そうした中で容疑者として浮上する一人の青年。
一方で一風堂のメインバンク白水銀行の審査部で一風堂を担当する坂東は、担当部署から追加融資の申請を受けた。
倒産させるわけにはいかない大企業だから支援を継続すべきとの意見に、坂東は疑問を持っている。
一風堂には大きな改革が必要のはずだ。
しかし銀行内には一風堂支援を強力に推し進める一派が存在し、坂東に大きな圧力をかけていた。
作品の内容が推察出来るこのタイトルには異議がありますけど、とても面白い企業小説でした。
爆弾事件を調査する警察と巨大企業への融資に揺れる大銀行内部での暗闘を描いて、迫力を感じさせるミステリィです。
大きな陰謀を描きながらも読後感が良いエンターティメントに仕上げるところが、池井戸潤作品の良い点で、この作品も楽しめました。