面白い本を探す

ジェイン・オースティン「エマ」の感想です。

ジェイン・オースティン「エマ」☆☆☆

エマ

裕福な家に生まれ育ったエマ・ウッドハウスは、美人で機知に富む女性だが、少々おせっかい焼きなところがある。

ウッドハウス家の家庭教師だったアナ・テーラーをウェストン氏に紹介したところ、二人がお互いを気に入り結婚した事から、今度は友人のハリエット・スミスの結婚の橋渡しを思いつく。

そんなエマを静かにたしなめるのはジョージ・ナイトリーただ一人だが、エマはナイトリーの助言など聞きもせず、ハリエットに求婚する農夫のロバート・マーティンを退けて、ハリエットを牧師のエルトンと結ばせようとしたり、それが上手くいかないとウェストン氏の前妻の息子フランク・チャーチルと一緒にさせようと画策する。


オースティンらしい皮肉っぽい人物描写やユーモアにあふれた作品ですけど、主人公のエマが善良ではあっても少々思慮に欠けている点が彼女の作品にしては珍しい気がします。

その分ナイトリー氏は落ち着いた立派な人物ですけどね。

エマが人のおせっかいを懸命にする割には上手くいかないドタバタを描いたラブ・コメディという印象の作品で、「自負と偏見」のような奥深さは感じませんけど、これはこれで人物像が愉快で楽しめる作品です。