エドモンド・ハミルトン「スター・キングへの帰還」☆☆☆
スペオペの傑作「スター・キング」の続編になる作品です。
元の時代の地球に戻った主人公ジョン・ゴードンが、中央銀河系帝国の王子ザース・アーンの新たな発明により肉体ごと20万年未来の世界に転移して、またもや銀河系に訪れる危機を救うという物語で、フォマロート王国の王女リアンナ姫との愛の葛藤や暗雲同盟の盟主ショール・カーンとの再会などがあり、ご都合主義の楽しい展開が繰り広げられて行きます。
ハミルトンのSFは娯楽色一辺倒で、いささかの高邁な思想らしきものがなく、厚みやリアリティはありませんけど、荒唐無稽で単純明快に楽しめるところが最高です。
ヒロインのリアンナ姫の登場場面が案外と少ないように思いましたが、それでもよく描かれていると思います。
前作ではリアンナはザース・アーンの肉体の中のジョン・ゴードンと恋に落ちるわけですが、それが本当のジョン・ゴードンを前にして戸惑ってしまうというのは、考えてみれば当たり前の話で、生まれも育ちも考え方も違う二人が新しく育む関係が悪くない。
この続編でエンターティメントとしては少しモヤッとした終わり方の前作がきれいに決着が着いたように思います。
それにしても、ハミルトンは何故20万年後なんていう途方も無い未来を舞台にしたんでしょうね?