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ディヴィッド・ブリン「知性化戦争」の感想です。

ディヴィッド・ブリン「知性化戦争」☆☆☆

知性化戦争

銀河の覇権を争う列強諸族の一つ鳥類型エイリアンのグーブルーが、銀河諸族に参加したばかりで友好諸族も数少ない鬼子扱いされている人類の植民惑星ガースに艦隊を派遣して来た。

ガースに住む人類とその従属であるネオ・チンパンジーの防衛隊はグーブルー艦隊の侵入阻止を試みるが、戦力の差は如何ともしがたく、グーブルーに惑星を占拠されてしまう。

地上に降りたグーブルー軍から何とか逃れたチンパンジーたちは抵抗活動を行うが、一方でグーブルーに取り入るチンパンジーたちも現れ始める。

しかもこの惑星では人類によるゴリラの知性化研究が秘密裏に行われていた。

惑星を占拠したグーブルーは、艦隊を指揮していた3人の冠首による主導権争いを始め、さらにネオ・チンパンジーを自分たちの類属にしようと企むが、なかなか計画通りには運ばない。

惑星を占拠したものの、混乱し始めた銀河列強諸属グーブルーに対して、人類はガースを奪還しようと策を練るのだが・・・。


サンダイバー」、「スタータイド・ライジング」に続く知性化シリーズの第3作目の作品で、ヒューゴー賞、ローカス賞を受賞しています。

鳥型エイリアン・グーブルーの奇妙な習性を興味深く描きながら、ほとんどの銀河種族が人類を敵視する中で、数少ない人類の味方とも言える種族ティンブリーミーの協力を受けながら、人類が何とか生き延びて行こうとする姿を描いた冒険SFです。

この銀河系の中で生き延びるためには、自分たちに従う強力な類族を数多く確保することがとても大切で、凶悪な種族に知性化されることで否応なく類族にされてしまう方は災難ですが、そういうルールの元で成り立っている銀河の世界。

侵入者のグーブルーも極めて強力な一族ですが、それでもどこか滑稽な感じがして、本当に凶悪な種族に比べればまだマシな種族に思えます。

スケールの大きな設定とユニークなエイリアンたちと巧みな展開で、とても楽しめるセンス・オブ・ワンダーに満ちたSF小説です。

管理人は知性化シリーズの中では、この作品が一番好きです。