村上たかし「星守る犬」☆☆☆

星守る犬

サラリーマンの夫にパートの妻、それにまだ小さな娘がいるごく普通の家庭。娘が捨て犬を拾い、この家で飼うことになる。

初めは子犬の面倒をみていた娘はすぐに飽きて、犬の世話は何故かお父さんの仕事になる。

時が過ぎ、犬も娘も成長したが、家庭の中はいつしかギクシャクとしていた。そして・・・


管理人とは多少境遇が違いますが、でも父親であり、日々を普通に暮らして家族を養い、不満があっても波風立てずに生きてきたという点では同じです。

そんな風に生きてきた男性の最後がこれではなぁ・・・。

この作品には本当の意味で悪意のある人はいない。

誰が悪いわけでもないのに、ささいな行き違いから大きなすれ違いになる人間関係があり、巡り合わせとしか言えない不運があり、その不運に身につまされ、他人事とは思えない気がしてきます。

人が良いと生きていくのが厳しいのかな・・・。

このマンガのテーマは、おそらくそういうことではないような気がするけど、でもこの作品のお父さんと同じように、家族のために平凡ではあるけど真面目にコツコツと暮らしてきた立場からすると、感情移入せざるを得ないですね。

どことなくユーモラスな序盤から、徐々にシリアスな展開になっていき、そして哀感にあふれたシーンになるわけですけど、そうした中で、子犬の時から面倒をみてきた犬だけが、純粋に忠実だったのが救いで、これがまた心に響いて来るのです。

泣きました。


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