遠藤達哉「SPY×FAMILY」☆☆☆

SPY×FAMILY

世界各国が情報戦を繰り広げている架空の世界で、西国(ウェスタリス)の凄腕スパイ〈黄昏〉は新たな指令を受け取った。

それは西国が対立する敵国・東国(オスタニア)を支配する国家統一党総裁ドノバン・デズモンドに近づき、その動静を探ること。

用心深くめったに表舞台に出て来ないドノバンに接触するために、彼の息子が通う名門のイーデン校に子供を入学させ、ドノバンが唯一現れるというイーデン校の懇親会に潜入せよと言うとんでもない任務。

独身者で子供などいない〈黄昏〉は精神科医ロイド・フォージャーと名乗り、子供を探すために訪れた孤児院でアーニャという少女に出会うが、実はアーニャは某組織の実験の結果生み出された超能力者で、人の心を読むことが出来た。

孤児院を転々として保護者が欲しかったアーニャを養女に迎えてイーデン校を受験したロイドとアーニャだが、イーデン校に入学するためには子供と両親が揃って3人で面接を受けなければならないことを知らされる。

一方、市役所に勤める女性ヨル・ブライアは、姉に彼氏が出来るまで昇進しないという弟のために、何とか彼氏を作りたいと思っていたが、実は〈いばら姫〉の異名を持つ凄腕の殺し屋でもあった。

ある日洋品店で知り合ったロイドとヨルは、心が読めるアーニャの企みでデートの約束にこぎつけ、更にそこで起きたハプニングから偽装夫婦となることを決める。

夫は独裁者の知己を得るという任務のため、妻は弟を安心させるため、娘は自らの居場所を得るために偽装家族となったフォージャー家の奇妙な生活が始まった。


スパイと殺し屋と超能力者という血の繋がらない3人家族が織りなすスパイ・ホーム・コメディです。

父親と母親はお互いに相手の正体に気づかず娘の能力も知らず、全てを知る娘は家族関係が続くように行動しています。

単なる勘違い物語ではなく、そもそもが人は誰もが仮面をかぶり、自分が見たいものを見るというようなテーマが前提にあり、偽りだらけで始まった家族関係が、どのようにして本物に変化していくのか、そういう展開を期待させてくれます。

マンガらしく自分の能力においては極端に優秀な夫婦ですけど、それでも相手の正体に気が付かない鈍感さを持っていて、孤児院に帰りたくない超能力者の娘は温かい家族に憧れながらも子供らしい冒険心を持っていてバカなことを仕出かし、両親が無意識にそれを助けて大騒動になる。

色々と難しい設定ですけど、これから期待できる作品だと思います。

    

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