阿刀田高「七つの怖い扉」☆☆
阿刀田高をはじめとする7人の作家による書き下ろしホラー・アンソロジーです。それぞれに個性があって面白い作品です。
阿刀田高「迷路」は上手いけど、もう少しブラック・ジョーク的な味わいがあると更に良いと思いました。
宮部みゆき「布団部屋」は時代怪異小説で、管理人が好きなタイプの作品です。
高橋克彦「母の死んだ家」と小池真理子「康平の背中」は、いかにも日本風ホラーという味わいが有る作品。
乃南アサ「夕がすみ」は思った通りの筋立てでしたが、登場人物たちが今後歩む姿が思い浮かぶような作品です。
鈴木光司「空に浮かぶ棺」はリングですよね。リングが前提にあるから理解が出来る話という気がします。
夢枕獏「安義橋の鬼,人を喰らふ語」は、管理人が子供の頃に読んだ今昔物語だかを下敷きにした話だと思います。日本の怖い昔話から来ているけど、子供の頃に読んだ話はもっと怖かった様な印象があります。でもこういう日本の伝統的な話を、今風に分かりやすい形で発表するというのも大切ですね。
それぞれの作家の個性を一つのテーマで味わえるのが、こういうアンソロジーの楽しさで、楽しめました。