スーザン・ウィッグス「あの夏、湖面にまばゆく」☆☆☆

あの夏、湖面にまばゆく

祖父母が経営するキャンプ場で毎年夏を過ごすオリビア・ベラミーは、ぽっちゃりした体型で眼鏡をかけた冴えない少女だった。

サマーキャンプに参加する他の子供たちとは馴染めず孤独なオリビアだったが、ある夏の日コナー・デイビスというハンサムな少年と知り合い、いつしか親しくなり、そして淡い恋心を抱くようになる。

しかし祖父母がキャンプ場を閉めると決めた年のサマーキャンプで、オリビアはコナーから深く傷つけられた。

それから9年の月日が流れ、美しい女性に成長したオリビアは室内装飾家として多忙な日々を送っていたが、ある日祖母から祖父母がかつて結婚式を挙げた今は閉鎖しているサマーキャンプ場で金婚式を揚げたいからと、傷んでいるキャンプ場の改修を頼まれる。

つらい思い出のある場所の改修に気が乗らなかったオリビアだったが、祖母の頼みを断りきれずにサマーキャンプ場に出向き地元の建設会社に作業を依頼するが、その建設会社の経営者としてオリビアの前に現れたのは、かつて恋をして手痛い目に会わされたコナー・デイビスその人だった。

再会した二人は、協力しながらキャンプ場の改修作業をすることになるのだが・・・。


子供の頃、裕福な家庭に生まれながらも両親の不仲に悩み、そのストレスから太ってしまったオリヴィアと、母親と継父に冷遇され、実父はアルコール依存症に苦しむ複雑な環境のコナー。

物語は今の二人と子供の頃の二人の話が交差しながら進んでいきます。

お互いに心を許し合う関係だった二人が別れなくてはならなかった理由が徐々に明かされ、そしてキャンプ場の改修という共同作業を通して新たな関係を築いていく二人の姿が、温かい視線で描かれています。

派手な事件は起こりませんけど、こういう落ち着いた雰囲気のロマンス小説は良いですね。


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