池波正太郎「江戸切絵図散歩」☆☆
今で言えば東京都内の地図にあたる江戸時代に作られた「江戸切絵図」。
この作品は浅草生まれの池波正太郎が、江戸切絵図を元にして現在の東京から昔の江戸時代の景色を思い浮かべながら、子供の頃の思い出や昔のことなどを綴ったエッセイ集です。
鬼平犯科帳や剣客商売などの作品の中にも描かれている昔の江戸の面影を、切絵図などを通して描いています。
管理人は東京生まれの東京育ちなのに、方向音痴で地図の見方も下手で、ここに描かれている地名にも馴染みがある割には、こういう古地図を見ていると疲れてしまいます。
しかし池波氏が描くエッセイには古き良き江戸の味わいがあり、江戸時代と東京がオーバーラップして、更に少し昔の江戸の姿も感じられて懐かしいですねぇ。
このエッセイも何度となく読み返していますけど、最初に読んだ時は何も思わなかったのに、歳とともに情景が胸に染みるようになっていきます。
しかしながら東京は変化が激しい街で、管理人が暮らしていた頃よりも、この作品が書かれた頃よりも、懐かしい景色が更に少しずつ減っていっているようで残念な気持ちもあります。仕方がないことなんですけど・・・。