スーザン・キャロル「魔法の夜に囚われて」☆☆☆

魔法の夜に囚われて

イギリス・コーンウォール地方で代々続く名家セント・レジャーの一族には不思議な能力を持つ者が多く生まれた。

また一族の中には花嫁を見つけ出す能力の持ち主がいて、その花嫁探し人が見つけた女以外の女性を花嫁に迎えると悲劇が待ち受けていると言う。

ロンドンに住む伯爵令嬢マデリンは、花嫁を探しに来たセント・レジャーの「花嫁探し人」の神父から見せられた細密画の青年に一目で恋をし、ロンドンからはるか遠いレジャー城で待つ城主アナトールに嫁ぐ事を決める。

しかしその城で初めて会ったアナトールは、マデリンが大切にしてきた細密画の中の繊細な雰囲気の青年とは似ても似つかぬ荒々しい男性だった。

一方で人並み外れた強い超能力を持つが故に両親に疎まれて育ったアナトールは、猛々しい自分に恐れを抱かない強い女性を求めていたため、目の前に現われた小柄で繊細な美しい女性マデリンを見て失望する。

お互いに失望感を抱きながら結婚式を挙げる二人だったが・・・。


一見すると荒々しいけど内面はとても繊細で傷つきやすい男性と、一見ひ弱そうでありながら内面には秘めたる強いものを持っている女性。

出会った当初はお互いが抱いていたイメージと異なる相手に失望感を抱きますが、ともに過ごすうちに誤解が解け、いつしか惹かれあい、最後には困難を乗り越えて強い絆で結ばれると言うお定まりの物語です。

和訳タイトルがありきたりで印象に残らないのが残念ですけど、ユニークな雰囲気の1999年RITA賞受賞のロマンチック・ファンタジィです。

バランスが取れた構成で、主人公の造形も魅力的で面白い作品だと思いますが、敵役が管理人としては今ひとつでした。


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