リチャード・マシスン「奇蹟の輝き」☆☆

奇蹟の輝き

突然の交通事故で急死したクリスは、自分が死んだことが納得出来ないでいた。

それでも何とかその事実を理解して魂の世界に行き、そこで愛する妻アンが来るまで待つ積りでいたところ、夫の事故死にショックを受けたアンが自殺したと知らされる。

キリスト教では自殺は大罪で天国には行けない。

クリスは最愛の人を救うために地獄へと向かった。


非常にゆったりとした流れの中で愛の奇跡を描いた美しい物語です。

おしまいの方でクリスがアンに語りかける場面はなかなか感動的です。

最初に読んだ時は、これ本当にマシスンが書いたの?と思いました。

管理人の印象では、マシスンと言えば恐怖小説で、実際それまでに読んだ彼の作品は「地獄の家」や「地球最後の男」など、ホラー・サスペンスの印象で、それぞれ映画化されていますが、穏やかな作品ではありません。

管理人が最初に読んだマシスン作品は「レミング」という有名な短編で、この作品は増えすぎた人間たちがある日突然に本能の赴くままに海の中に入って自殺して行く状況を書いていて、その行為がいかにも日常のありふれた会話の中で描かれていて、とても印象深いSFでした。

マシスンはそういう作家だと思い込んでいたので、この作品を読んだ時には妙にナイーブな印象を受けました。

宗教臭がとりわけ強いわけでは有りませんが、それでもクリスチャンではない管理人にはピンと来ない部分があって、良い作品だと思いますが、全体的にはまずまずという印象です。


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