ロバート・A. ハインライン「スターマン・ジョーンズ」☆☆☆
伯父が宇宙船乗務員だった農夫マクシミリアン・ジョーンズ(マックス)は航宙士に憧れていたが、父亡き後の家計を支えるため夢を諦めていた。
しかし母の再婚で義父となったロクデナシの男と衝突して家を出ていく。
町でむかしは宇宙船乗りだったらしい怪しい男サムと出会い、身分を誤魔化してサムと二人で恒星間貨物客船に乗り込む事に成功するマックス。
始めはただの乗組員からスタートするが、幼い頃から宇宙に憧れ、豊富な知識と人並み外れた能力を持つマックスは徐々に頭角を現していき、幸運にも恵まれて航図係から航宙士へと出世していく。
宇宙に憧れを抱く青年が、不正乗車した宇宙船の中で徐々に頭角を現していく姿を描いた、青年の成長物語を主体にしたストレートに楽しめる冒険SFです。
アメリカの片田舎に住む貧しい農夫の青年の日々が、昭和30年代のアメリカのTVドラマっぽいレトロな雰囲気で、田舎者が家出して都会に出ていくような描写にどことなく郷愁を感じ、その彼が乗り込む宇宙船があまりに類型的な感じで、こういう古典的な定番SFならではの安心感と、それに加えて流石にハインラインだと思わせるような展開があって、何ともいえない良さを感じます。
ハインライン作品の中では地味だし話題性もありませんが、管理人は好きな作品です。