ピーター・ストラウブ「ミスターX」☆☆☆
主人公のネッド・ダンスタンは里子として育った。
父親が誰だか知らず、母親のスターは芸人として転々とした人生をおくっている。
でもネッドは母から愛情を注がれていないわけじゃない。彼が毎年誕生日に奇妙な発作を起こすのを、母は心配しながら見守ってくれる。
ネッドが誕生日に必ず見る悪夢は、黒衣の男が見知らぬ人たちを惨殺していくリアルで恐ろしい夢。
NYでプログラマーとして生活しているネッドは、ある日スターが余命いくばくもない事を感じて、スターが必ず帰るはずの故郷に向かった。
そこで次々と明らかになっていくネッドの謎、ダンスタン家の謎、ネッドを殺しにやってくるという狂人ミスターXの秘密。
ラヴクラフトのクトゥルー神話が下敷きになっているらしいですけど、古き神々が実際に登場するわけではなく、作品全体の雰囲気にもおどろおどろしい部分はあまり感じませんでした。
翻訳小説に特有の意味が良く判らないところもありましたが、全体的に落ち着いたペースで進行するダーク・ファンタジィで、面白いホラー小説です。