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オースン・スコット・カード 「アルヴィン・メイカー」の感想です。

オースン・スコット・カード「アルヴィン・メイカー」☆☆

アルヴィン・メイカー

アメリカ開拓時代を思わせる異世界を舞台にして、七番目の息子の七番目の息子には不思議な力が宿るという伝説を元に描かれた世界幻想文学大賞受賞の冒険ファンタジィ・シリーズです。


深い森には精霊が宿り、まじないや魔術が効果を持ち、新天地を求める白人開拓者を先住民が襲う開拓時代のアメリカで、町に新しく移住してきたミラー家に誕生したアルヴィンは不思議な力を持っていた。

彼はモノを創り出すことが出来る創造者(メイカー)の生まれ変わりだった。

しかし創造者には敵対する破壊者(アンメイカー)がいた。

町のプロテスタント教会のスロウワー神父は、まじないなどは迷信と切り捨てる信仰熱い人物だったが、アンメイカーはスロウワー神父を騙し、都合の良いように利用してアルヴィンに近づいてゆく。


とてもオースン・スコット・カードらしい作品だと思います。

カードはある種の哲学を持っている作家で、更にその哲学を物語に変えていく力を持っています。

自分なりの哲学を持っている作家は大勢いても、えてして難解になったり、お説教臭が強くなりすぎたりして、自分の考えを面白い小説に仕上げられる作家は少ないと思いますが、この点カードはぎりぎりの所で折り合いをつけて、面白い作品にしているように思います。

このアルヴィン・メイカー・シリーズも、そんなカードらしい作品ですけど、日本での人気は今一つのようです。

「奇跡の少年」と「赤い予言者」が邦訳されていますが、アメリカ開拓時代の物語になると日本人には馴染みが薄いということもあってか、これから面白くなりそうだというところで邦訳が止まるのは残念ですね。