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柳原望 「高杉さん家のおべんとう」の感想です。

柳原望「高杉さん家のおべんとう」☆☆

高杉さん家のおべんとう

高校生の頃に両親を交通事故で亡くし、マンションで一人暮らしをしている31歳のオーバードクターの独身青年高杉温己(はるみ = ハル)は、ある日突然12歳の美少女の従姉妹・久留里と一緒に暮らすことになった。

久留里の母親美哉はハルの叔母(どうも血は繋がっていないらしい)で、ハルの両親の交通事故が美哉を迎えに行く時に起こったことから、責任を感じて家を出て行った女性。シングルマザーとして小さな出版社に勤めながら久留里を育ててきたが、事故で突然この世を去り、遺言状でハルを久留里の後見人にしていた。

12歳の少女の保護者などとんでもないと一度は断るハルだったが、他に親族が居ないことや美哉が遺した久留里の養育費に惹かれて、つい引き受けてしまう。

生真面目な地理学の研究者で、人は良いけど気配りの方向性が怪しい好青年ハルと、アイドルと間違われる程の美少女ながら、人付き合いが苦手で引っ込み思案な久留里は、不器用ながら新しい家族になるために歩き出す。


何とも良い味を出している作品です。

基本的に登場人物は好人物ばかりで、そうした中で久留里の学校生活とハルの大学での日常や研究などを淡々と描いています。

初めのうち二人を結びつけているのは、亡くなった美哉の思い出ですけど、それがお弁当に形を変え、そして二人のお互いに対する思いに変わっていき、更に二人の成長につながっていくところが素晴らしいです。

現時点(2013.9.24)で7巻まで発刊され、中学1年生だった久留里は高校生になり、プレッシャーに弱かったハルも久留里と生活しているうちに考えを深めて人間的に成長しています。

さて、この物語の行き着く先は果たして・・・。興味深いですね。

ちなみに1話毎に色々なお弁当のレシピが書かれているところも特徴の一つですが、そこら辺は管理人はよく分かりません。


(追記)
2015年7月に10巻で完結しましたが、ほのぼのした良い雰囲気のマンガが微妙な方向性にずれてしまったようです。