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新川直司 「四月は君の嘘」の感想です。

新川直司「四月は君の嘘」☆☆☆

四月は君の嘘

天才ピアニストだった中学生・有馬公生は、母親の死後ピアノの音が聴こえなくなった。

ピアノを弾かなくなってからの公生は、目的もなく単調な日々を過ごしている。

隣家に住む幼馴染の活発な少女澤部椿はソフトボール、親友の渡亮太はサッカーに明け暮れ、公生の二人の親友は青春の真っ只中で輝いている。

そんなある日、公生は椿の友人でヴァイオリニストの宮園かをりと出会った。

かをりのヴァイオリン・コンクールでの色鮮やかで自由奔放な演奏を聴き、そして無理矢理かをりのピアノ伴奏者に指名された事から、公生の生活の中にまた音楽とピアノが戻ってくるのだが・・・。


音をなくした中学生の元天才ピアニストが、同じ中学生の天才ヴァイオリニストと出会った事をきっかけにして自分を見つめ直し、障害に負けずに成長していく姿を描いた青春音楽マンガです。

自由奔放に演奏し、公生に音楽に向き合う気持ちを再認識させるかをりは、公生に対して傍若無人な態度を取ることもありますが、大量の薬を持ち歩き演奏の後に気を失うという健康面に問題を抱えているらしい少女。

そして公生の幼馴染の椿は、渡の事が好きだと言うかをりと公生が音楽で繋がっている事に複雑な気持ちを抱いている。

そこに小学生の頃から公生をライバル視していた少年少女たちが現れて、なかなか素敵な青春ストーリーが展開されています。

2015.5月にコミック11巻が発行されて無事完結しました。

人は人とつながりながら前を向いて今を懸命に生きていく、その姿の健気な美しさが素敵です。

心に傷を負った少年の再生の物語に加えて、甘酸っぱいような愛の物語が分かりやすく描かれていて、余韻の残るラスト・シーンもしみじみと味わえて中々の傑作でした。