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リサ・クレイパス「幸せの宿る場所」の感想です。

リサ・クレイパス「幸せの宿る場所」☆☆☆

幸せの宿る場所

大富豪トラヴィス家の娘ヘイヴンは、兄ゲイジの結婚披露宴で恋人ニックと間違えて見知らぬ男性ハーディと熱いキスを交わしてしまう。

その直後にハーディが兄嫁リバティの幼なじみで、以前兄の事業の邪魔をした男と知るが、ハーディに惹かれたのもつかの間、結婚披露宴が終わった後ヘイブンはニックと駆け落ちも同然の結婚をする。

父親を始め家族のみんなが反対したニックとの結婚だったが、ヘイヴンは二人の間に愛があればどんな障害でも乗り越えられると信じていた。

しかし結婚後しばらくしてから、アテにしていたトラヴィス家の援助を受けられないことに腹を立てたニックと、ニックの顔を伺う態度を取るヘイヴンの夫婦生活は歪な形をとりはじめ、いつしかニックは家庭内で暴力を振るうようになる。

それでも悪いのは私・・・と耐えていたヘイヴンだったが・・・。


夢を見ること」の続編になるロマンス小説ですが、この作品から読んでも特に問題はありません。管理人もこちらの作品を先に読んでしまいました。

家庭内暴力や変質的なナルシストなどを描いて、なかなか読み応えのある作品でした。

いつの間にか従属関係になっていく夫婦の状況などは、けっこう今日的な社会問題を描いていて、ただのロマンチックな話よりも深みが有ります。

主人公ヘイヴンの行動に疑問を抱くところもありますが、精神的なバランスが崩れると人は傍から見ると不合理な行動をとる事が実際に多いようで、現実にヘイヴンのような精神状態になることもあるようです。

ボロボロになりながら家族の助けを借りてニックと別れたものの、DVの影響で男性恐怖症に陥ったヘイヴンですが、兄の結婚披露宴で出会った時に何故かお互いに心を惹かれたハーディと再会した事から、ハーディの強さと優しさが同居した態度にいつしか心を開き、心の傷を癒していきます。

また、そうしたヘイヴンを支えていくうちに、鬱屈した悩みを抱えていたハーディも救われていくというような物語が良く出来ていました。

しかし偏執狂的な思い込みの激しい人間というのは不気味なものですね。