源氏鶏太「天下を取る」☆☆

天下を取る

東洋物産の新人社員・大門大太は、二流大学卒でありながら入社早々に天下取りを公言する向上心の高い青年だった。

そんな大太を気に入った同期入社の亀村兵治は大太の参謀になると言い出し、大太の生き方に興味を抱く優秀な女性社員・安原沢子も大太に協力していく。

大太のことを気に入らない配属先の課長などの嫌がらせや、次々と起こる難題に対して、大太は全力で立ち向かい、自らの道を切り開いていく。


昔懐かしい高度成長期の昭和の若きサラリーマンを主人公にしたビジネス小説です。

登場人物も舞台設定もおよそありそうもないし、主人公や身近にいる人間が打算だけで行動しているように見えてしまう点に、昭和の軽いサラリーマン小説という雰囲気を感じてしまいますが、そこが又良いようにも思います。

主人公の大門大太(随分といい加減な名前に感じます)、その親友亀村兵治、そして恋人となる安原沢子を中心にして繰り広げられる物語は、偶然も多く、偶然を積み重ねて話が進み、その上結婚のことで大騒ぎになり、保身の塊のような人物も登場して、底が浅い。

しかしながら、そういうことも含めて源氏鶏太のサラリーマン小説には独特の魅力があって、若かりし頃の管理人は随分と読んだものです。

この作品もそういった軽く楽しめる作品です。


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