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ジェフリー・ディーヴァー「魔術師 (イリュージョニスト)」の感想です。

ジェフリー・ディーヴァー「魔術師 (イリュージョニスト)」☆☆☆

魔術師 (イリュージョニスト)

名門音楽学校で女子学生が殺害され、駆けつけた警官は犯人を密室に閉じ込めるが、いつの間にか犯人は部屋から消えていた。

その数時間後、ゲイのスタイリストが怪しい男に襲われ、アパートの自室に逃げ込み鍵を掛けて警察に助けを呼んだが、警察がやって来た時には死体となっていた。

事件の捜査協力をする元NY市警の科学捜査部長で、事故により四肢麻痺患者となったリンカーン・ライムと彼のパートナーの巡査アメリア・ソックスは、犯人はマジックの経験者だと考えて、手品用品店で働く見習いマジシャンの女性の手を借りて、犯行を阻止せんとするが・・・。


スーパー・マジシャンとリンカーン・ライムが対決するシリーズ第5作目です。

自然に囲まれた田舎町での慣れない捜査に戸惑う3作目「エンプティー・チェア」や、全く異なった文化の蛇頭を追う4作目「石の猿」から、ライム本来の土俵に戻ってきたようで、犯人に翻弄される場面も多いのですが、リンカーン・ライムらしい推理が冴え渡ります。

しかし相変わらずのジェットコースター・ミステリィで、読んでいて些か疲れます。

天才魔術師とライムとの知恵比べのような物語で、ひとつの事件の解決が次の事件の伏線になっていたりして、読んでいる最中は何も思いませんが、犯人のとる行動が警察の捜査能力が高い事を前提にしているようで、そのあたりが非現実的な印象です。

でも読みだすと止められないミステリィ・シリーズなのは確かですね。

アメリア・サックスの活躍が徐々にライムに匹敵するようになってきたところにも興味を惹かれます。